【チャンピオンズC】“ポッピー”は「頑張り屋。信じて送り出します」田端助手と万感ラストラン
万感のラストランへ-。チャンピオンズC連覇を狙うレモンポップ(牡6、田中博)は大井競馬のトラックマンから転身した田端誠助手(47)が担当する。自身、厩舎にとって初の重賞&G1制覇をかなえた愛馬への思いに迫る。 ◇ ◇ ◇ 込み上げるものはある。ただ、勝負の時も刻々と近づく。レモンポップを担当する田端助手が、表情を引き締める。「寂しい気持ちはありますけど、馬に悟られないように普段通りを心がけてます」。語呂の良さから“ポッピー”と呼ぶ。「若い頃から賢くてオンオフの切り替えができてましたね。まあ、6歳の今も子どもっぽいところはありますけど(笑い)」。柔和な笑みをこぼし、濃密な4年間をかみしめた。 20年9月。米G1・5勝のレモンドロップキッド産駒が入厩した。「トモにボールでも入ってるんじゃないかと。ボリュームがすごかったです」。デビューから2連勝。だがある日、調教から厩舎に戻ってくると歩様に違和感を覚えた。3歳冬まで1年の長期休養。明確な原因は分からなかった。「歯がゆいところはありました」。 だからこそ、格別だった。帰厩後は一段と入念にケアへ努めた。他馬と熱量は変わらなくとも、なぜだか時計の進みが早かった。戸崎騎手を背に23年根岸Sで重賞初制覇。「費やしてきたことが実を結んだなと。報われましたね。あれで厩舎も馬も勢いがつきました」。23年度の最優秀ダートホースを受賞。今年のさきたま杯の口取りでは、G1級で初めて家族と写真に納まった。開業7年目の厩舎も29日現在で43勝。関東リーディングで2位につける。 前走南部杯の最終追い切りでは2歳新馬に遅れた。だが、周囲の不安をよそに逃げ切った。「真面目だから絶対に抜かせなかった。すごい子ですよ」。今回は違う。「今の方が表情がすごくいいですね。馬体も前回より少し張りが出ましたね」と上積みを肌で感じる。昨年同様、距離不安は付きまとうが、長めの距離を乗り込むなど策は講じてきた。「なかなか巡り合えない馬。携われて幸せです。やつは頑張り屋。信じて送り出します」。チャンピオンズC連覇なら史上初。きっと最後も、思いに応えてくれる。【桑原幹久】