「21年間笑えない」次女亡くした男性訴え 犯罪被害者への支援や理解広めるイベント
犯罪被害者への理解を深める「犯罪被害者週間」(25~12月1日)に合わせ、警察庁は29日、東京都渋谷区で中央イベントを開催した。平成15年に大学生の次女を殺人事件でなくした米村州弘さんが講演を行い、「私が活動している間、ちいちゃんは生き返って人を助けることができる。そんな思いで語り続けている」と思いを語った。 熊本市の大学生だった智紗都さん=当時(20)=は15年9月、行方不明になり約2週間後、奈良県の山中で遺体で見つかった。容疑者はインターネットを通じて知り合った49歳の男だった。 米村さんは事件後、自身が買ってあげたパソコンが事件につながってしまったと自分を責めたという。妻や長女も、自分のせいで事件が起きたと考え、「3人の家族が、大切な娘や妹を殺したのは自分だと思うような生活になってしまった」と話した。 事実に基づかない報道や、民事裁判で賠償金の支払いを命じる判決が出た後は誹謗中傷を受けたことも明かした。米村さんは、孫が生まれたとき、うれしさと同時に辛さも感じたという。楽しいことは全て智紗都さんにつなげてしまうとし、「21年たちましたが私の家族は家で笑えない。それが遺族」と訴えた。 最後に米村さんは妻が智紗都さんに宛てた書いた手紙を紹介。《ちいちゃんより長く生きていること、ちいちゃんを助けてあげられなかったこと、お母さんの後悔であり、お母さんの罪なのです》。米村さんは「生きていくことを罪と思うような人生を生きてはいけない。体が続く間、訴えていきたい」と話した。 犯罪被害者の支援団体と米村さんを交えたパネルディスカッションも行われた。警察庁の若田英長官官房審議官は「広がる支援の輪により、社会全体で被害者の方々を支えていく機運が高まり、再び平穏な生活を営むことができる社会を実現したい」と述べた。