「笑い声が聞こえなくて苦しい」沖縄の芸人、ネタを配信して奮闘 県内でコロナ初確認から1年
新型コロナウイルスの感染が県内で初確認されてから1年。予想を超える感染拡大の波に繰り返し見舞われ、沖縄の社会はどう変わり、人々は何を感じたのか。お笑い芸人を通して、暮らしの移り変わりを追った。 観客の前でお笑いライブができない。笑ってくれる声が聞けない。「精神的につらかった」。演芸集団FEC団長の仲座健太さん(44)はつぶやく。「観客の前でネタをすることで磨かれていく。でもそれって自分たちのエゴではないかと自問自答を繰り返していた」 「エンタメ」が不要不急という風潮、出演芸人や観客への感染リスクの恐れ。不安やジレンマを抱えながらも「お笑いがなくなることは沖縄にとっていいことではない」と考え、リモートでのお笑い企画や配信を組み合わせたライブで、笑いを届けてきた。 「今やるべきことはネタを作り、配信でもいいのでネタを披露し続けることが大事だ」と仲座さん。FECではスタジオを設け、収録ができる環境を整えた。「ネタをやって配信しても笑い声は聞こえない。苦しいですよ。でもやらないと本当にお笑いがなくなってしまう」と仲間に訴える。 「いつかマスクをせずに大声で笑ってもらう。そんなライブができる日が必ず来る。それまで、一人もお笑いをやめることなく、みんな踏ん張っていこう」。元気がなくなりつつあるお笑い界で「今が踏ん張りどころ」と呼び掛ける。(学芸部・西里大輝)