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テーマ設定にタブーなし「Netflix」目指すはグローバルなニッチ

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SmartFLASH

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『全裸監督』『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』。  これらは近年、世界的に人気となったシリーズ・映画作品だが、すべてNetflixが製作したオリジナル作品である。  Netflixといえば、世界190カ国で約1億8300万人(2020年4月時点)のメンバー登録数を誇る、業界最大手の動画配信サービス。エンターテイメントに特化し、映画やドラマが見放題とあって、若い世代を中心にユーザーを増やしている。  そこで今回、Netflixのどこがスゴいのか、広報を担当する東菜緒さんに話を聞いた。 ――1997年に創業したNetflixですが、現在の利用状況を教えていただけますか。 東 メンバーは約1億8300万人を超えましたが、これは登録している有料会員数なので、すなわち世帯数と解釈しています。ひとつのアカウントをシェアして利用しているとすると、4億人くらいがご覧になっています。世界的にユーザー増加が顕著で、今はアメリカ国内に約7000万世帯、アメリカ国外は約1億世帯以上とかなり多い。当然、英語だけのコンテンツというわけにもいかないので、ひとつの作品を最大30言語に字幕や吹き替えを対応させて配信しています。 ――スマホやタブレット、パソコンはもちろん、インターネット接続が可能ならあらゆるデバイスで利用できます。 東 現在、約1700種類のデバイスに対応可能です。スマートテレビ、PlayStationなどのゲーム機、Fire TV Stick、Chromecastなどのストリーミングメディアプレイヤー……。すべてのデバイスを合わせると、ひと月に5億台も利用されているというデータがあります。グローバルではテレビなどの大画面で観るユーザーが多いのですが、日本ではモバイル端末を利用する方が多いのも特徴です。 ――最近では、前日に最も再生された作品の「TOP10」表示もスタートしました。個人個人の好みに合わせておすすめを表示するレコメンデーション機能に加え、ランキング形式の作品紹介を始めたのはなぜですか? 東 レコメンデーション機能は、ブラウジングする時間を少しでも減らしたかったから。短時間で観たい作品につなげ、できるだけ視聴に時間を割いてほしいという意図があったんです。  他のユーザーがどんな作品を観ているか、世間で話題の作品は何か、気になる方もいらっしゃいます。いくつかの国でテストして検証したところ、結果がよかったので、TOP10表示を採用しました。これがあることで、作品を探しやすくなるメリットもあります。 ――3月20日に配信が始まったNetflixオリジナル『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者!?』が、SNSで話題になっています。アメリカの私設動物園で猛獣を飼い慣らす園長をめぐる犯罪ドキュメンタリーですが、すごい反響ですね。 東 面白いと評判をいただいています。どちらかというと、ドラマとドキュメンタリーの中間のようなエンターテイメント性のある作品ですが、ドキュメンタリーと同じぐらい、ファクトチェックをおこなっていますよ。 ――Netflixのドキュメンタリーを見ると、ほとんどがオリジナル作品です。すべて自社スタジオで制作しているのですか? 東 オリジナル作品=ネトフリで独占配信している作品、とご理解いただけるとわかりやすいと思います。すべてのオリジナルを企画、制作からやっているわけではありません。たとえば、プロダクションやフリーのクリエイターが制作して、その配信権を独占させていただく形もあり、そういった場合でもオリジナルとみなします。もちろん、弊社で企画から立ち上げて作っている作品も増えている傾向にあります。 ――ドキュメンタリーひとつ取っても、社会問題、人物もの、宗教、フードなど幅広いテーマがズラリ。多彩なオリジナル作品のラインナップも、そのように実現しているわけですね。 東 アメリカだけではなく、世界約100拠点にある制作チームが、独自にコンテンツを制作しています。クリエイター主導で、幅広いジャンルを拡充する戦略ですね。  弊社は映画会社でもテレビ局でもないので、特に重視するのがフレキシビリティ。極端な話をすると、映画のプロットとしていただいた作品でも、キャラクターを深掘りしてシリーズ作品に変更することもあります。だからこそ『タイガーキング』のような作品が生まれるし、ジャンル豊かな作品を揃えるには重要となります。 ――そういったフレキシビリティが、作品づくりの上で活かされる場合も? 東 そうですね。制作の決裁権は、その国のノウハウ、感性を持ったコンテンツ部門の担当者にあるのですが、基本はクリエイターの裁量に委ねます。スポンサーを気にする必要もないので、かなりの確率でクリエイターのやりたいことを作品に反映できているはずです。  社内のやり取りはフラットなので、他国のクリエイターの力を借りたい場合は、スタジオとして手助けすることも。たとえば、『全裸監督』の脚本を練っているタイミングで、『ナルコス』(※麻薬王と警察の戦いを描いたドラマ)の脚本家を呼び寄せて、ワークショップを開いたりしました。  ちなみに、ドキュメンタリーではありませんが、今年の夏に『エデン』という作品を配信する予定がありまして。  これはNetflix初のフルオリジナルアニメーションなんですが、監督が日本人で『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』の入江泰浩さん。プロデューサーはアメリカ出身のジャスティン・リーチさん、音楽はオーストラリア人、背景美術は中国の制作チームで、制作は台湾の3DCGに特化したアニメーションスタジオ。非常にグローバルな作品となっています。 ――ドキュメンタリーのなかでも、とりわけ「刑務所」「麻薬」「殺人事件」「シリアルキラー」といった、犯罪や事件、危険なテーマを取り上げた作品が多いように見受けられます。 東 ハードコアなテーマであったとしても、世界的に需要があり、注力している部分はありますね。冤罪を扱った『メイキング・ア・マーダー』は、米国で社会現象となりました。  ロシアのドーピング問題に迫った『イカロス』は、第90回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、高い評価を得ています。クオリティの高いドキュメンタリーは、今後も力を入れていきたいジャンルですね。  ただ、ポルノや若者の自殺を誘発するような作品は作らない、というポリシーはあります。そこを除けば、テーマ設定にタブーはなし! ――「テーマがニッチだ」と言われることに対しては、どう捉えていますか? 東 ニッチであればあるほど、Netflixでやる意義があると思うんです。日本人の観点でニッチとされても、世界190カ国の視聴者がいると思えば需要はあるはずだし、グローバルなニッチです(笑)。オリジナルドキュメンタリーとして取り上げる意義はあります。 ――今後、日本のユーザーに向けて、特にアピールしていく予定のジャンルはありますか? 東 今、特に力を注いでいるのが日本発のアニメ。もともと本社では、日本をアニメにおけるクリエイティブの重要拠点と位置づけてまして。2017年頃から、日本らしいアニメの作品づくりに本腰を入れはじめ、現在では日本発のアニメコンテンツプロジェクトがいくつか進行しています。アニメを作るのは2年半から4年ほどかかるので、来年あたりから本格的にNetflix出資アニメの配信が増えてくるはずです。  先ほどお話しした『エデン』はその皮切りですが、4月23日から『攻殻機動隊 SAC_2045』の新シリーズも配信開始になります。つい先日、シーズン2の制作発表も決定いたしました。今後、日本初のNetflixオリジナルアニメがどんどん登場予定ですので、ぜひご期待ください。 ――アニメに関心が低い層にもヒットしそうです。 東 Netflixのサービスは、マーティン・スコセッシ監督の映画と日本のアニメが並んで、おすすめとして表示されたりするわけです。ジャンルを超えて、アニメにアレルギーがある方にも興味を持ってもらえると嬉しいですね。

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