阪神梅野が2年ぶり一発に盗塁阻止率首位。守りだけの正捕手はありえるのか
リードも冴えていた。 先発の藤浪は、相変わらず制球が定まらなかったが、「ストライクが入るボールを選んでリードしました」とスライダーに光明をみつけた。7四球を出しながらも8回途中まで1失点の我慢のピッチングを支えた。 それでもボールカウントが増える度に阪神ファンから溜息が漏れる。 「みなさんのアーッという声も聞こえてくるんですが、なんとか結果はよかったんで、晋太郎をほめてあげてほしいですね」。 梅野は、ヒーローインタビューで、女房役らしく、ファンにそう呼びかけた。 2014年のルーキーイヤーは、67試合にスタメンマスクをかぶって、7本塁打を放ち、そのバッティングの意外性を含めて、翌年以降に、飛躍が期待された。だがそれから伸び悩み、昨季は育成から抜擢された原口文仁の台頭もあって、控えに回ることが多くスタメンマスクは29試合に終わり、本塁打はゼロ、打率は.135だった。 だが、今季は、原口が一塁コンバートされたことでチャンスが巡ってきた。梅野は、まず守備で信頼感を得ることから始めたのである。 しかし里崎氏は、梅野が、今後正捕手として評価されるためには物足りない部分が多いという。 「“守りさえよければ打てなくてもいいよ”という評価をもらって起用を続けてもらえるのは、チームが勝っている間だけです。捕手としてのスキルで言えば、僕は、12球団で、西武の炭谷銀仁朗が一番だと見ているのですが、チームが勝てないと代打を出されるし、バッティングの期待値の岡田が使われたりしていますよね。 昨年、広島の石原が打率.202、ゼロ本塁打で、正捕手としての地位を確保したので、“打てなくとも守れればいい”という捕手像が固まっているようですが、これもすべて広島が勝ったからなんです。 阪神打線の得点力が下がって負けにつながりだせば、いくら梅野の守りがよくても、打率1割台では、打撃優先の選手起用になるでしょう。それにリードの評価は、あくまでも結果論です。勝っていることが前提です。負けているのに“リードだけはよかったよね”という評価はもらえません。そう考えると、最低2割5分は打たないとレギュラーとは呼べないでしょう」 優勝チームに名捕手ありーーー。まだシーズンは始まったばかりだが、梅野は、チームと共に、その格言を体言することができるのだろうか。