【電動モデルに集中】フォルクスワーゲン、モータースポーツから撤退 ID.Rプロジェクトも終了
モータースポーツ社は閉鎖
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン) translator:Takuya Hayashi(林 汰久也) 【写真】ID.3、ID.4、ゴルフR、トゥアレグR、ティグアンR【IDシリーズとRモデルを写真で見る】 (157枚) フォルクスワーゲンは12月1日、モータースポーツ活動を終了すると発表した。今後は「ID」シリーズをはじめとする電動モビリティの開発に注力する意向だ。 声明によると、169名のスタッフを抱えるモータースポーツ部門は、今後数か月のうちに別の事業に統合される予定だという。 昨年、同部門はEVレース活動のID.Rプロジェクトに集中すると発表したばかりだが、これも終了することになる。 開発担当役員のフランク・ウェルシュは次のように述べている。 「フォルクスワーゲンブランドは、持続可能な電動モビリティのリーディング・プロバイダーになろうとしています。そのため、わたし達の力を結集すべく、モータースポーツ活動を終了することを決定しました。モータースポーツの経営資源は、フォルクスワーゲンAGに統合されることになります」 「モータースポーツ社員の深い技術的専門知識とID.Rプロジェクトから得たノウハウは社内に残り、IDファミリーのさらなるモデル開発に活かされます」 ラリーカーのポロGTI R5とツーリングカーのゴルフGTI TCRのカスタマーレースも終了。ポロGTI R5の生産は今年末までとなる。両モデルのスペアパーツの供給は長期的に「確保されている」という。
アウディも同事業の抜本的再編へ
フォルクスワーゲン・モータースポーツは50年の歴史を持つ。 過去10年間では、世界ラリー選手権で4回、世界ラリークロス選手権で3回、TCR国際ツーリングカー選手権で2回、ダカール・ラリーで3回の優勝を収めるなど多くのレースで華々しい功績を残している。 また、EVレーシングカーのID.Rは、さまざまな記録を更新してきた。パイクスピークのヒルクライムの総合記録を更新したほか、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェと中国の天門山でEV記録を樹立した。 モータースポーツ部門のトップであるスベン・スミーツは今年初め、AUTOCARに対し第2世代モデルの開発を進めていると語っていた。 兄弟ブランドであるアウディも、モータースポーツ事業の抜本的な再編を発表している。 アウディは2021年のシーズン終了後にフォーミュラEから撤退し、2022年のダカール・ラリーに向けた新しい電動モデルの開発に注力するとしている。また、世界耐久選手権の最上位クラスであるル・マン・デイトナ・ハイブリッド(LMDH)のハイパーカークラスへのエントリーを「集中的に準備」しているという。
AUTOCAR JAPAN