ステフィン・カリーが『カリーブランド』を通じて人々に伝えたいこと「苦しい時期の取り組みが、自分の未来を作る」
「絶え間ない情熱と強い意志を持って努力し続けること」
文=鈴木健一郎 写真提供=UNDER ARMOUR ステフィン・カリーはNBAキャリア12年目のシーズンを戦っている。3度のNBA優勝、2度のMVP、オールスターには2014年からケガのあった2020年を除き6回連続で選出されるなど、NBAのトッププレーヤーとしての評価を確立した。 しかし、彼はいわゆるエリートではない。父のデル・カリーはNBA選手であり、優れたバスケットボールのDNAを持って生まれたものの、193cmで細身の身体はNBAのレベルでプレーするアスリートとしては特段恵まれていたわけではなく、プロバスケットボール選手としての彼の成功は、彼自身がたゆまぬ努力を積み重ねた末につかみ取ったものだ。 「子供の頃、チームで一番背が低かった。有名な大学からの奨学金のオファーも得られなかった。体格で試合を支配することはできない。しかし僕にもできることはある。バスケットボールIQ、ハンドリング、クイックシュート。身体が小さかったおかげで多くを学んだ。何かを成し遂げるために、誰かの真似をする必要はない。生い立ちや才能の有無にかかわらず、絶え間ない情熱と強い意志を持って努力し続けること。必要なことはそれだけだ」 カリーにとっての逆境は「背が低かった」ことだろう。アスリート能力を競う面の大きいバスケットボールにおいて、レベルやカテゴリーが上がれば上がるほど、それは大きな課題として立ちふさがる。カリーは大学に進学する際に身長が183cmしかなく、NCAA1部の強豪校からは奨学金のオファーを得られなかった。彼が進んだデイビッドソン大は中堅校でしかない。 大学2年の時に迎えた2008年のNCAAトーナメントで、カリーはそのシュート力を武器にセンセーショナルな活躍を見せる。チームを4回戦まで導き、NCAAオールアメリカンセカンドチームに選ばれた。このパフォーマンスが注目されたからこそ、彼は翌年のNBAドラフトでウォリアーズから1巡目7位指名を受けることになる。