『【推しの子】』を介して出会った中島健人とキタニタツヤ。異色ユニットGEMNの幸福な化学反応とは? OP曲「ファタール」制作秘話
星野アイが降りてきた
──そんな2人が『【推しの子】』という作品を介して出会いました。キタニさんにも中島さんにもそれぞれリンクする部分のある作品だと思いますが、最初に触れたときはどう感じましたか? キタニ 僕はマンガから入りました。コミックスが3、4巻くらいまで出た頃に読み始めて。今回第2期で描かれる舞台「東京ブレイド」あたりのエピソードでは、表に立つ側ではなく、脚本家やプロデューサーなどクリエイターの仕事ぶりにもスポットが当たるじゃないですか。そこはすごく共感できる部分が多かったんです。序盤は普通に「面白いな」とファンタジーを読むような気持ちで追っていたけど、「東京ブレイド」編からは自分ごととして読んでいました。健人さんはやっぱり“最強で無敵のアイドル”だから、最初から「これって俺じゃん」と思いながら読んでたの? 中島 うん(笑)。アイの姿に、アイドルの葛藤が詰まっていて……すごく共鳴しました。すべての喜怒哀楽が詰まっていたんですよね。初めて観たときは「こんなアニメが存在するんだ」ってカルチャーショックを受けたし、久々にアニメで泣いて。でもすごいエネルギーを受け取れるんですよ。『【推しの子】』を観たあとのツアーは、ちょっとパワーが備わっている印象がありました。 キタニ 星野アイが、自分に降りてきてたんだ。 中島 そう。降りてきてた。 ──中島さんは、『【推しの子】』第1期の主題歌であるYOASOBIさんの「アイドル」をコンサートの舞台裏で踊った動画をInstagramで公開して、話題になっていましたよね。 中島 あれがすごく反響があって、翌日のMCで「ちょっと踊って」みたいな流れになって、急遽アカペラで歌って踊ったんです。それが自分の中では印象深い思い出で。それきりだと思っていたら、こういうご縁につながって。今お仕事で『【推しの子】』の話ができていることをすごく贅沢に感じるし、淀みなく言葉が出てきますね。