小林聡美、理想の距離感は「思ってることの2割に留めておくこと」
WOWOWで2021年1月15日からスタートする連続ドラマ『ペンションメッツァ』で、主演を務める小林聡美。本作ではフィンランド語で「森」を意味する「メッツァ」を名前につけたペンションのオーナー・テンコを演じている。WOWOWではこれまで『パンとスープとネコ日和』『山のトムさん』『コートダジュールNo.10』と、独自の世界観と時間の流れを持つ作品に出演してきた彼女。今回のドラマではどんな風景を見せてくれるのか話を聞いた。 【写真】『ペンションメッツア』に出演するキャストたち ――今回演じられたテンコについてどのような印象をお持ちですか。 自立している、というと単純かもしれないですけど、自分の世界をきちんと持っていて、大きくて豪快で抜けがいい、凛とした人だなと思いました。私と重なる部分はほぼないですね(笑)。私はいつもバタバタしてますから。 ――撮影は夏でしたが、演技に臨むにあたって何か心境的な変化はありましたか? 演技についての心境的変化というのは特になかったですけど、この時期に撮影が出来るありがたさは感じました。今までの現場よりも貴重な時間に思えて、最後まで無事に撮影が終えられるよう、スタッフ、キャスト全員細心の注意を払ってましたので、そういった意味の緊張感はありましたね。 ――映像を拝見しましたが、つかず離れず、それでいて相手に向き合っているテンコと登場人物たちとの"距離感"が心地よいドラマでした。ご自身としてはどう感じましたか? 確かに出来上がった映像を見て私もそう感じました。でも撮影している時はずっと二人芝居なので、セリフの量がけっこうなものだったなんですよね。毎日のように覚えては出し、覚えては出し、の連続だったので、頭の中は10密くらいでした。 ――では、仕事や普段の生活で小林さんが心がけている“理想の距離感”はありますか。 自分の考えを押しつけないことですかね。何かアドバイスを求められても、思ってることの2割くらいに留めておく、とか。やっぱり本人の意見は尊重した方がいいと思いますし、いくら親身にとはいっても、あんまりズケズケ入り込むようなことはしないようにしています。 ――それが小林さんの変わらない価値観でもあると。 そうですね、きっと。 ――ところで、小林さん自身にはペンションオーナーの素質ってあると思いますか? 全っ然ないです(笑)。ゼロ。あんなにいつもキレイに掃除してきちんと料理してなんて…(両手をバツに交差しながら)。 ――逆に「こんな風にもてなされたい」という希望はありますか。 楽にさせてくれるおもてなしがといいですね。テンコさんくらいちゃんとしていると、こっちも緊張しちゃうかも(笑)。清潔でほったらかしくらいの方がいいです。 ――ストーリーが進み、さまざまな人たちとのふれあいを通じ、やがてテンコの中にある感情が芽生えます。演じられた小林さんの中で答はありますか? 想像の答はありますけど、言わない方がいいですよね。きっと彼女はどこかに行って、また何かゼロから始めるのだと思います。 ――小林さん自身は今、どこに行って、どんな風景を見たいですか。 今は、とにかく絶景が見たいです。日本にでもたくさんありますよね、崖とか滝とか。海外だとノルウェーに行きたいですね。自然のスゴさを味わいたいです。 ――このペンションにはどこか風変わりな、いろいろな人が訪れますが、小林さんは自分のことを"変わり者"だと思いますか? 変わり者(笑)…どうなんでしょう。みんなそれぞれ変わってますし、そもそも同じ人なんかいないじゃないですか。その意味では、みんな変わってますよね。 ――言われてみるとそうですね。 種類というかタイプが違うだけで。みんなに合わせたり、合わせられなかったり、その人の性格や許容量もありますけど、合わせられる人は合わせればいいし、合わせられない人は無理しなくてもいいですし。 ――では、これからも小林さんは淡々とわが道を行く感じですか? 淡々というより、バタバタでしょうか(笑)。
中村裕一