劇作家・マキノノゾミ ── ジュリー・沢田研二を語る
劇団M.O.Pの設立以降、日本の演劇界を牽引する劇作家のマキノノゾミ(55)氏。ここ近年は、俳優の沢田研二主演の音楽劇を精力的に取り組んでおり、現在、『音楽劇 お嬢さんお手上げだ・明治編』で全国を公演している(5月31日・高知公演まで)。本作で脚本・演出を手掛けているマキノ氏に、最新作について、さらにはジュリーとの関係について語ってもらった。
ジュリーとのはじまりはどんな感じ?
──ジュリー(沢田研二)とのはじまりは? マキノ:「03年だったかな。杉浦直樹さんのお芝居を観に行ったときに、楽屋にご挨拶にお邪魔したら、杉浦さんとの共演が決まっていた沢田さんも、いらっしゃったんですよ。そのときは、簡単な自己紹介だけさせていただいたんです。なぜか僕のことをご存知だったことに驚きましたが、それから2年くらいして、沢田さんご本人から、『やってくれないか』とオファーをいただきました。もちろん、一も二もなく、『やらせていただきます』と即答しました。実は、このとき沢田さんから提示されたスケジュールは、自分たちの劇団の公演とかぶってたんです。でも僕は、本当に沢田さんの大ファンだったものですから、これがもしできなかったら、一生の悔いになると思って、すぐに劇団の制作に話をして、劇団公演のスケジュールをずらしてもらったんです(笑)」 ──名曲『お嬢さんお手上げだ』が舞台に? マキノ:「今回の『お嬢さんお手上げだ』は、沢田さんが男4人で、ラフでユルい雰囲気のお芝居をやりたいという提案からスタートしました。ただ、4人だとセリフも多くなって大変なので、若くてイキのいい、4人のおじさんと正反対の若い女の子を一人入れてやりましょうと。そう考えたときに、『お嬢さんお手上げだ』というタイトルと、彼女に4人のおじさんが振り回される大筋のストーリーがすぐに浮かびました。78年の大ヒット曲『ダーリング』のB面に収録されていた、隠れた名曲ですしね」