広がれウバメガシの森 小中学生が苗木植樹、田辺市秋津川
紀州備長炭発祥地の和歌山県田辺市秋津川で10日、地元の小中学生が、梅畑だった耕作放棄地に備長炭の原木ウバメガシの苗木を植えた。 【主要駅でウバメガシの苗育てる 山に植樹「戻り苗プロジェクト」、JR西と田辺の林業ベンチャー の記事はこちら】 秋津川振興会が主体となり、2020年度から関係機関などと連携して農地をウバメガシの森にするために始めた。21年度からは、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の保全事業として進めている。 秋津川地区は、農業従事者の高齢化や後継者不足、有害鳥獣や病害虫による農作物の被害などの問題を抱えている。その中で、ウバメガシの確保も課題になっているという。 この日は、秋津川小学校と秋津川中学校の児童や生徒計17人が参加。西牟婁森林組合や県農林水産振興部、田辺市の職員らも協力した。 秋津川振興会の北川弘泰会長(62)はあいさつで「小中学生の皆さんには、地域活動に協力していただき感謝している。備長炭として焼くことができる木に育つよう、協力して植樹をしましょう」と呼びかけた。 小学5、6年生と中学生が大人の協力を受けながら、約30アールの農地に一つ一つ丁寧に植樹した。小中学生らがドングリから育てた苗木など約360本のウバメガシと100本のカエデを植えた。 秋津川小5年の紺岡煌叶君(11)は「ウバメガシが立派に育つのが楽しみ」、秋津川中2年の堀越丈陽さん(14)は「どのように成長するか楽しみで心待ちにしている」と話した。 来年以降の植樹で使う苗木を育てるためのドングリの種まきや、小学1~4年生を対象にした木工教室もあった。
紀伊民報