大栄翔、初日から大関3連破!平幕で戦後3人目の快挙/初場所
大相撲初場所3日目(12日、両国国技館)西前頭筆頭の大栄翔(27)は、かど番の大関正代(29)を突き出して3連勝。平幕力士が初日から3大関を撃破するのは戦後3人目の快挙となった。自身初の綱とりに挑む大関貴景勝(24)は平幕北勝富士(28)に突き落とされて3連敗となり、場所後の昇進は絶望的。かど番の大関朝乃山(26)は小結御嶽海(28)に押し出されて2敗目を喫し、3大関総崩れとなった。 足し算ではない。前日よりきょう、きょうよりあしたへ。迷いなく、馬力で取る押し相撲の勢いは、掛け算で増していく。突き押しが得意の大栄翔が、大関正代を一方的に突き出した。 「自分の相撲を取り切れた。どんな相手にも燃えていくけど、大関相手となると気合が入った。立ち合いの角度がいいから、前へ前へ出られている」 鋭い踏み込みで立ち合ってすぐに、右から突き放す。間髪を入れずに正代の胸を狙って強烈な二の矢、三の矢を飛ばして圧力をかけた。伸びる両腕。止まらない足。正代がたまらず引き技をみせると一気に追撃した。 これで初日から朝乃山、貴景勝に続き3大関を撃破。平幕力士が初日から3日連続して大関を倒すのは平成20年九州場所の若の里(琴欧洲、琴光喜、魁皇)、31年初場所の北勝富士(栃ノ心、豪栄道、高安)に続き、戦後3人目の快挙となった。 突き押し相撲の真骨頂は、相手に対応することよりもそれに徹することにある。それだけに精神的な波をなくし、繊細な心根も必要だ。入門時から「卵かけご飯」が好きな大栄翔は、ヒガシマル醤油(しょうゆ)の「牡蠣(かき)だし醤油」がお気に入り。牡蠣エキスに鰹と昆布だしを合わせた深い味で、どんぶりに盛ったご飯に卵を2つ。しょうゆはご飯にあけた穴に直接かけ、卵と混ぜずに崩しながら食べるという。相撲同様、味や食べ方の手筋を崩さない。 昨年9月の秋場所後に右肘の遊離軟骨を除去する手術を行ったが、問題はないと言い切る。「(3大関撃破は)自信になる。ここから集中して調子を維持できたら」。季節外れの台風の目が、できた。(奥村展也)