「家族を晒すも守るも私だ」母の認知症や姉のダウン症を赤裸々に書くにしおかすみこ(49)が両親からかけられた“意外な言葉”とは
──連載ではリアルタイムではなく1年前のことを書かれていますよね。それでも細かい描写やセリフの臨場感がすごいです。 にしおか 家族のセリフは盛りたくもないし、正しく伝えたいというのがあってつい細かくなっちゃいますね。でも、そのときは衝撃でも時間が経つとやっぱり忘れちゃうから、メモを残しておいて、それを元に思い出しながら書いています。 ──内容も家族に起きた実際の出来事ですし、書くこと自体がしんどくなることはありませんか? にしおか 書くのがしんどいことはそんなにないんですけど、連載の〆切を過ぎてるときはいつもしんどいかなぁ。ギリギリだと徹夜になっちゃうこともあるけど、49歳の徹夜ってきついんですよ……。本当に目がしょぼしょぼするし、体力続かないし、1年1年の老いを実感します(笑)。それでも続いてるのは「あ、やっぱ書くこと好きなんだな」って思いますね。
「1年前に腹が立ったことは、思い出してもやっぱり同じぐらい腹が立つんですよ(笑)」
――書くことで頭の整理ができる、ということもあったり? にしおか よく言われるんですけど、1年前に腹が立ったことは、思い出してもやっぱり同じぐらい腹が立つんですよ(笑)。1年前わからなかったことはだいたい今もわからない。だから結局、そのまま、わからないと書きます。 パッと書けたことは1回もないですね。パソコンを開いてずっと止まったまま1文字も打たないで終わる日もあれば、ほとんどできたと思ったところから全部消すこともあるし。 ──そんな苦労をして書かれた文章。読者からのどんな反応が思い出に残っていますか? にしおか 中身は大変なことが多いけど、やっぱり笑ってほしくて書いてるから「笑った」が一番嬉しいです。 ──今後については、どのぐらいリアルに考えているんでしょうか? にしおか 家族それぞれの人生が「まんざらでもない」みたいな感じで送れたらいいなとは思ってます。「全員が大満足で幸せ!」っていうのはなかなか難しいから、どこで折り合いをつけるかを日々模索中です。でも模索してもたぶんわからないんだろうなと思いながら過ごしてます。 ――東京を離れるなど犠牲にするものもあったかと思いますが、にしおかさんも今「まんざらでもない」と思えているのでしょうか。 にしおか うーん、私は仕事がそんなに忙しくなかったので、何かを捨てた感覚が実はないんですよね。今後、家族を見守るがために、私が何かを犠牲にしなければいけなくなったら別の方法を模索します。例えば自分は別の場所に引っ越して、何らかのサービスを利用するとか。 今後どういう選択をするかは全然わかんないですけど、今は実家でも好きなことができてるからいいんじゃないかっていう感じです。
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