「上方落語の爆笑王」桂雀々さん死去、64歳 10月ゴルフ場でプレー中に倒れ…一度回復に向かうも11月20日に
落語家、桂雀々(かつら・じゃくじゃく、本名・松本貢一=まつもと・こういち)さんが20日に糖尿病からの肝不全のため茨城県内の病院で死去したことが22日、分かった。64歳だった。この日、同県内の葬儀場で遺族の意向により近親者で葬儀が執り行われた。後日、「お別れの会」を開く予定。10月下旬、ゴルフのプレー中に倒れて入院し、一時は回復へ向かうも、高座復帰の願いはかなわなかった。 【写真】桂雀々さん、「陸王」で役所広司に怒られた「真剣にやってるんで笑かさないでください」 スピード感あるしゃべりと大きなアクションで観客を魅了した人気落語家が突然、旅立った。 この日、所属事務所が公式サイトで訃報を発表。「入院中も最後まで高座復帰を目指し療養に努めて参りましたが、残念ながらその願いは叶いませんでした」と、働き盛りで急死した雀々さんの無念さを代弁するような言葉が並んだ。 複数の関係者によると、10月23日に茨城県内のゴルフ場を訪れた雀々さんはプレー中に倒れ、県内の病院へ救急搬送。大阪から駆け付けた妻の献身的な看病で回復に向かい一般病棟へ移るも、11月中旬に呼吸困難を発症。最後まで病と闘ったが、家族に見守られて息を引き取ったという。 所属事務所は10月26日にXで雀々さんが体調不良のため当面、落語会を休演すると発表し、11月13日に年内全ての落語会の休演を告知していた。 大阪市出身の雀々さんは1977年6月、二代目桂枝雀さん(享年59)に16歳で入門し、同10月に初舞台。枝雀さんの爆笑落語を受け継ぎ、人気者となった。 上方の三代目桂米朝一門下でありながら、芸歴35周年を迎えた2011年には拠点を東京へ。17年の芸歴40周年記念公演には交流のあるサザンオールスターズの桑田佳祐(68)、明石家さんま(69)らがゲスト出演し話題を呼んだ。TBS系「陸王」、NHKBSプレミアム「贋作 男はつらいよ」など俳優としても活躍した。 一方で明るい芸風とはほど遠い壮絶な少年時代を経験。小学6年のときに両親が離婚。父のギャンブル好きに愛想を尽かした母が家を出て、その1年後、父も蒸発。電気もガスも止められ、やってきた借金取りから5000円を手渡されたエピソードも笑いにした。そんなひとりぼっちの少年の支えがラジオから流れてきた落語だった。 波乱万丈の64年。6月に亡くなった落語家、桂ざこばさん(享年76)は妻同士が姉妹で、義兄にあたる。今頃天国で、ざこばさん、枝雀さんと再会しているに違いない。