岡ちゃんが指摘する森保Jのネガティブ要素とは?
ミャンマーに加えて、モンゴル、タジキスタン、キルギス各代表とホーム&アウェイでグループFを戦うアジア2次予選は来年6月まで続く。その間に国際親善試合を組んで強化を図れる機会は、今後は11月19日(対戦相手未定、パナソニックスタジアム吹田)の一度しかない。 ここにユーロ2020の予選がたけなわのヨーロッパ勢を招へいすることは難しい。南米や北中米カリブ海の強豪や実力国を呼ぶにしても、極東に位置する日本への長距離移動や時差などもあって本調子を出せない試合展開になりがちになることは、先のパラグアイ戦も例外ではなかった。 5か国ずつ8つのグループに分かれるアジア2次予選を勝ち抜くのは、各グループの1位と2位の上位4か国。3次予選は6か国ずつ2つのグループに分かれて、来年9月から翌2021年10月までの長丁場で行われ、上位2位までの4か国がカタール行きの切符を獲得する。 3次予選の間に国際親善試合を組める機会は来年10月、2021年6、9、10月の4度。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)の規定により、ひとつの国際Aマッチデーでは同じ大陸内でマッチメイクしなければならない。必然的にすべてアジア大陸内で戦わざるをえないため、岡田氏が「もうちょっと強いチームと試合ができれば」と苦笑する状況が今後も繰り返されかねない。 「たとえば翔哉あたりをマン・ツー・マンで抑えて、フリーでボールを受けさせなくする相手が出てくる可能性もある。そのときにどのような戦い方をすればいいのか。頭では理解していても、実際に(試合で)練習できないとすれば……まあ、ポイチ(森保監督の愛称)はちゃんと考えているはずだし、これは老婆心かもしれないんだけど、自分が(監督を)やっていたらネガティブな要素を排除しようとか、いろいろなことを考えちゃうので」 スコールが降り続く悪条件と荒れたピッチで行われたミャンマー戦でも、岡田氏が賞賛した個の力が際立った。前半16分に中島が目の覚めるようなミドルシュートを決めて先制し、10分後には堂安の絶妙のアシストから南野が追加点を叩き込んだ。久保も途中出場し、風間八宏がもっていた19歳67日のワールドカップ予選における最年少出場記録を18歳98日に、実に39年ぶりに塗り替えている。 岡田氏は昨年3月に、トップカテゴリーの監督を務めるのに必要な公認S級コーチライセンスの更新を見送り、日本サッカー協会へ退会申請書を提出した。指導者として実質的に引退して久しいなかで、個の力に秀でた若手が雄々しく台頭している森保ジャパンに刺激を受けないのだろうか。 「経営の方が忙しくて、楽しくて、なかなか現場がイメージできなくなった。それでいいかな、と」 J3への昇格を目指して今シーズンのJFLで2位につけているFC今治の運営会社、株式会社今治.夢スポーツの代表取締役会長として奔走しながら、日本代表監督経験者として、そして日本サッカー界にこれからも携わっていく一人として、森保ジャパンの戦いぶりと成長曲線を見守っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)