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知ると知らないとで生死を分ける! レーシングドライバーが教える「公道で本当に使える」緊急回避術

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危険を予測して避けられる事故もある!

 事故はいつ起こるかわからない。心構えとしては、いついかなる状況でも油断せずに運転に集中するしかない。しかし、幸運にも事故の予兆を察知できたにもかかわらず、適切に対処する術を知らなかったがために衝突し、大切なクルマを廃車にせざるを得ないケースもある。下手をすれば生命も失うかもしれないのだ。そうならないための「緊急回避テクニック」について解説しよう。 【写真】レーシングドライバーでも躊躇するスパルタンすぎる市販車3台!  一般的に事故は不可避なケースで起こることが多い。以前、東名高速道路でスピンした車両が宙を舞いながら中央分離帯を飛び越え反対車線を走行中のバスに突き刺さるように激突するという激しく痛ましい事故があった。こんなケースでは当該バスのドライバーは予測も避けようもなかっただろう。  一方で山道のカーブをオーバースピードで曲がりきれず、反対車線にまではみ出して対向車と正面衝突するような事故は日常的に発生している。しかし、少しの知識、ノウハウが身に付いていれば、こうした場面での事故は回避できる可能性が高い。  もし自分のクルマがカーブを旋回中に反対車線にまではみ出しそうになったら、あなたはどう対処しますか?

車両姿勢コントロールシステムを活用するのも手

 大抵のドライバーは慌ててハンドルを切り増す操作を行うだろう。しかし、多くの場合それは最善策ではないといえる。低速のブラインドコーナーで想定した以上に小さく回り込んでいた場合は切り増し操作も必要だが、緩やかでハイスピードなカーブでは適切とは言えないのだ。  なぜならば、旋回するときクルマはハンドルを切り込むことで前輪にスリップアングルを与え、その度合いによって前輪は旋回力となるグリップ力を引き出している。だがタイヤが引き出せる旋回力には限界があり、タイヤの種別によって多少異なっているが、スリップアングル角の限界値があるのだ。  例えばハンドルを180度切り込むと前輪に10度のスリップアングルが付くとする。そのタイヤのグリップ限界がスリップアングル10度前後に頂点があるならば、それ以上ハンドルを切り増しても旋回力は低下してしまうことになる。つまり、カーブでハンドルを180度切り込んで旋回している時に前輪のグリップが足りずに反対車線にはみ出していったなら、そこからさらにハンドルを切り増すと前輪のグリップ力は逆に減少してしまい、増々大きくはみ出すこととなって危険回避できないことになる。このようなケースではブレーキを掛けて減速し、遠心力を下げつつ前輪にかかる荷重を増やしグリップ力を高める操作が必要だ。  最新のクルマには電子制御の車両姿勢コントロールシステムが装備されているものが多くなった。このシステムはカーブでドライバーの操作からドライバーの意図を読み取りブレーキや速度などを自動的に制御している。ハンドルの切れ角、横G、車輪速度などからコーナリング中の姿勢を適正化しているが、反対車線にはみ出しそうになってドライバーが慌ててハンドルを切り増すとステアリングセンサーが「ドライバーは急いで曲がりたがっている」という意図を読み取り、前輪のグリップ力による旋回力が十分でないと算出されればスロットルを閉じて減速させ、それでも足りなければ前輪内輪にブレーキをかけて減速と旋回力の回復を自動的に行ってくれるのだ。  本来、知識と経験のあるドライバーのノウハウをコンピューターが代わりに行ってくれるというすぐれたシステムである。運転ビギナーや緊急回避に不慣れなドライバーなら積極的にこうしたシステムが搭載されたクルマを選択することで「緊急回避能力」を一定水準に保てるはずだ。こうしたシステムはウエット路や雪道などドライバーが予測、対処しにくい状況でも安定して作動し、頼りになる。  もちろんそれでもタイヤグリップの限界値を高めるものではないので、無謀な運転を可能とするものではもちろんない。そのうえで、いつ何時事故が起こるかもしれないと常に注意し、周囲の状況を鑑みて用心深く運転することに注力することが重要だ。

中谷明彦

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