梅宮アンナ「日本でのがん治療は『標準治療』を選んでいい、その理由は?」医師に聞いてみたら答えは納得の
常日頃からがんに備える「がん防災」を提唱し、YouTubeでがんにまつわる情報を発信する腫瘍内科医・押川勝太郎(おしかわしょうたろう)先生。地元・宮崎での診療の傍ら、YouTube「がん防災チャンネル」でがんの解説動画を配信、毎週日曜19時から「がん相談YouTubeライブ飲み会」を運営しています。 そんな押川先生の「有名人がん解説シリーズ」で自分の病状の解説を見た梅宮アンナさんは「先生の言葉にとても励まされた」のだそう。自らの闘病を公表することで病に向き合うすべての人たちを支えたいと志すアンナさんと、がんに対する「先々の心構え」を説く押川先生に、「がん闘病の心得」をお話しいただきました。5日連続で配信します。今回は5話中の2話目です。
日本のがん治療は世界の先端をいく。安心してこの国で標準治療を受けてください
押川・今では日本の治療は世界的にも水準が高いのです。たとえば、長らく井戸水を経由したピロリ菌の感染が多かったため、日本は胃がんの症例数が圧倒的に多く、多くの外科医が胃がん手術を経験します。結果的に胃がんは極めて安全に手術ができます。これがアメリカですと、珍しいがんなのでステージ1でも命がけになりかねない。アメリカは先端的なことには強いけれど、がんの種類で得意不得意があるうえ、医療費が高額すぎて、理想のがん治療が十分受けられない人がたくさんいます。日本は誰でも標準治療が受けられるので、がんの治療を受けるなら断然日本です。 梅宮・私の母、クラウディアさんは7歳から日本にいますが、私の娘は普段アメリカにいて、いま一時帰国中です。アメリカに行くたび日本の国民皆保険制度は素晴らしすぎると痛感します。お友達によれば、アメリカでがんになったら最初に350万は払わないとならず、それを越えてはじめて保険でカバーできるそうです。私はAC療法の途中でCVポート手術を受けましたが、日本では3割負担と高額医療制度の範囲を使ってこの素晴らしい手術を受けられます。病気にならなかったら、日本のこうしたありがたさはわかりませんでした。いま私は日本にはなにも文句がありません。アメリカならば富裕層でない限り命が助からなかったから。 押川・アメリカでは肺がんにり患すると、11家族のうちの1家族は破産すると言われますね。大企業勤務ならば民間の保険会社の団体割引でディスカウントされますが、自営だと破産すると。 梅宮・救急車もアメリカでは1500ドルくらいかかります。いろいろ考えさせれ、学ぶこともできて、私は必要な経験をいましていると思っています。 押川・そう考えるようになったのは、がんを受け入れてからですか? 梅宮・そうですね、とはいえ私はすぐ受け入れちゃったので。みんな、「宣告されたときはどうやって帰ったか記憶がない」と言いますね。 押川・だいたいの場合、気持ちが落ち着いて受け入れるまで、1か月かかるんです。アンナさんが2か月で医療保険のありがたさにまで考えが至ったということは、私が提唱している「がん防災」、日頃からの「もしり患したらどうしよう」という心構えがもとからあったのだなと思います。