「断熱性能が良い=暖かい家?」 高気密・高断熱住宅にありがちな5つの誤解 電気代削減につながる「3つの工夫」とは?
大手電力会社が12月使用分の電気料金を発表し、12月使用分は関西電力を除いて9社で値下がりすることとなった。また政府による電気とガス料金の補助は10月でいったん終了していたが、来年1月から3月に再開される予定だ。 【画像】昭和時代に建てられた低い断熱・気密性能の住宅で暖房の熱が逃げていく様子 とはいえ、暖房を使う機会が増える冬場は、光熱費が家計に占める割合も大きくなる。食料品から日用品、ガソリン代まであらゆる「モノ」の値段が上がる中、家計への負担はさらに増すことになるだろう。
そこで注目したいのが、住宅の「高気密・高断熱化」だ。快適な暮らしを維持しながら、光熱費を効果的に削減できる有効な手段として、近年注目を集めており、国も「省エネ住宅」として普及を後押ししている。 ■寒さ対策に加えて光熱費節約にも効果的 では住宅の断熱性や気密性を高めると、どのような効果が得られるのだろうか。あらためて断熱性、気密性の高い住宅について簡単にふれておこう。 「住まいの断熱性を高める」というのは、壁や屋根、床などに高性能な断熱材をしっかりと施工することで、外部への熱の逃げ道を最小限に抑えるという考え方だ。
例えるなら防寒のためにダウンジャケットを羽織るというイメージだろうか。「より品質のいいダウン=厚みがあり、性能の高い断熱材」と想像してほしい。 一方の気密性は、空気の出入りを防ぐ性能を意味する。 気密性を高めることで外気を遮断し、断熱材の効果をより大きくする効果をもたらすのだ。熱を逃がしにくく、外気温の影響を受けにくい構造のため室温が安定し「夏は涼しく、冬は暖かい」環境を維持しやすくなるのだ。 その結果、冷暖房の使用頻度・利用時間が減らせるため、家計にも優しい。空気の出入りが少ないこともあり、効率よく冷暖房を使える利点もある。
高気密・高断熱住宅は家屋内で温度差が少なく、室温のムラがない点が特徴である。家全体を均一な温度に保ちやすく、快適な体感温度を維持しやすい。特に冬場にはその利点が顕著に現れる。 例えば、床や壁、天井から冷気を感じたり、足元が冷えて温まりにくいといった不快感を軽減できる。 そもそも家は、床・壁・天井から熱を放射している。断熱性能の低い従来の住宅の場合、この放射熱の影響で表面温度と室温に差が出やすくなり、肌で感じる「寒い・暑い」感覚、つまり体感温度に大きく影響を及ぼすのだ。