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「不便だけど、不幸じゃない」46歳で若年性アルツハイマー型認知症になった下坂厚さんに聞く

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サライ.jp

「地域によって利用できるサービスは違うようで、京都市だと市バス、地下鉄には無料で乗れたり、動物園や植物園、市立美術館が無料で利用できたりはしますが、それが経済的にプラスかというと、そうとはいえません。そのほかには、所得税や住民税の障害者控除がありますが、それが反映されるのは次年度からなんです」 下坂さんが実名を出して発信しているのも、同じ病気の人や家族の励みになれればという思いとともに、こうした当事者の声を広く届けたいという思いがあるからだ。 認知症啓発活動のひとつ、日本全国をリレーで縦断するイベント「RUN伴(ランとも)」にも昨年は参加したが、今年はコロナ感染拡大のため中止となった。そこで、下坂さんはFacebookで、下坂さん自身が走る動画をつくり掲載した。「今年は中止になったけれど、みんなの思いはいつもつながっているよ」というメッセージを届けたいと思ったからだ。「ボランティアの経験もないし、マラソンも普段はやらないですよ」と笑う。

できないことも増えていくけれど、できることもたくさんある

下坂さんと会話していると、認知症だとは思えない。質問を投げかけると、論理的で、わかりやすい答えが返ってくる。でも「短期記憶が失われるので、不便ですよ」と明かす。 これほど、自分の病気のことを客観的に見ることができているのも、デイサービス施設の河本さんの存在が大きいという。 「絶望の暗闇から優しく手を差し伸べてくれた希望のあかりのような人。いつも僕と同じ目線で、いっしょに考えてくれる。そして、彼女自身も福祉の仕事に熱い思いを持っていて、いろんなことにチャレンジしていくタイプ。そんなところを見て、いっしょに何かできるとおもしろいと思えたのも、前向きになれた要因のひとつです。また河本さんは、若年性アルツハイマー型認知症の当事者として活動している丹野智文さんともつながりがあり、講演会のあとに話をさせてもらう機会をつくってくれました。彼が元気に活動している姿を見て、自分もがんばらないといけないと思えたんです」 下坂さんは最近「日本認知症本人ワーキンググループ」に入会した。 「丹野さんたち先輩が取り組んでこられた活動を見て、今までの自分ではいけないと感じたから。診断直後の方の相談に乗るなど、同じ境遇の方たちの力になりたいと思っています。そして、ゆくゆくは同じ若年性アルツハイマー型認知症の方たちとネットワークをつくれたらいいなと考えています」 下坂さんが同じ病気の人の姿を見て勇気づけられたように、下坂さんを見て勇気づけられる当事者や家族はきっといるはずだ。 「できないことも増えていくけれど、できることもたくさんあると思います。だから、認知症当事者の方や認知症の人を介護している人には、笑顔でがんばろう! と言いたいです」

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