勢いに陰りもあった50歳俳優がブレイク若手並みに引っ張りだこのワケ。連ドラ2本&SP1本に主演
『グレイトギフト』で新境地の主人公に挑戦
ただ『ビーチボーイズ』、『GTO』以降、スマッシュヒットした主演ドラマはありましたが、社会現象を起こすほどの大ヒット作には恵まれなかった反町さん。 その後、2015年から2022年までの7シーズンに渡りご長寿刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)で、水谷豊さんの4代目相棒を務めたことが復活の転機となります。 『相棒』を経て円熟した「イケオジ俳優」へと脱皮し、今年の八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍に繋がるのです。 今年1月期放送の『グレイトギフト』は、完全犯罪を可能にする殺人球菌「ギフト」をめぐるノンストップサバイバル医療ミステリーで、反町さんが新境地を開拓した作品となりました。 反町さん演じる主人公はこれまでのパブリックイメージとは真逆で、コミュ力が低めで優柔不断、同僚たちから見下されているといううだつの上がらない病理医。熱くてヤンチャな役どころや、クールでスマートな役どころのイメージが強い反町さんにとって、ほぼ初めてに近い主人公像だったはずです。 忌憚(きたん)なく言うなら、主人公が序盤から中盤までずっと敵対勢力にハメられて惨敗続きだったため、フラストレーションが溜まる展開だったのですが、その分、終盤の逆襲劇でスカッとしてカタルシスが得られるストーリーとなっていました。
『オクラ』ではホットとクールの二面性を表現
そして現在放送中の『オクラ』。反町さんと杉野さんが演じる刑事のバディものとなっています。 “お蔵入り”になってしまった未解決事件を扱う「特命捜査情報管理室」は、警視庁内で無能や荒くれ者と判断された警官たちが集められた“刑事の墓場”。 そんな掃きだめのようなところに所属する人情に厚く「捜査は足で稼ぐ」が信条の昭和刑事(反町さん)と、新たに配属されたインテリジェンスを漂わせるクールな令和刑事(杉野さん)が、風化寸前の未解決事件に挑んでいくというストーリーです。 反町が演じる主人公は、一見すると『ビーチボーイズ』や『GTO』を彷彿させる“陽”の破天荒キャラ。たとえば逮捕令状もないのに容疑者のアパートを訪れ、部屋のドアを殴る蹴るで破壊して侵入するという“GTO味”のあるシーンもありました。 しかし、今作の主人公はそんな“陽”の一面だけではなく、裏の顔としてダークヒーロー的な“陰”の面も持ち合わせていたのです。 そのため『オクラ』は「ホットな反町隆史」と「クールな反町隆史」の両方を堪能できる、“一粒で二度美味しい”作品と言えるでしょう。『ビーチボーイズ』、『GTO』、『相棒』といった代表作の経験が、ひとつの作品で二面性を表現する今作の糧になっているに違いありません。