日常生活でできる舌トレ/歯学博士照山裕子
「100歳まで食べられる歯と口の話」<36> 舌の重さは実に300グラムほど。意識しないとだらんと垂れ下がり、重みで口がぽかんとあいてしまいます。この「落ち舌」の状態では口で呼吸をすることになり、さまざまな感染症の原因になります。舌は筋肉なので、いつでも何歳でも鍛えることが可能です。 舌を触ったことがないという方は、まずは凝りをほぐすストレッチから始めましょう。鏡の前で手洗いをして行ってください。 (1)舌の後方を親指と人さし指ではさみ、左右に10回揺らす。(2)舌を上あごに吸い付け、親指と人さし指で舌裏の根元部分をつまみ、ゆっくりと10回もむ。(3)舌の裏側の根元部分を人さし指の腹でゆっくり押し、奥から手前にずらしていく。左右とも10~15秒かけて行います。 次に、外出先でも簡単にできる落ち舌改善体操をいくつかご紹介します。 舌伸ばし体操=両腕を体のうしろで組み、下方に引っ張り胸を広げる。顔を上方に向け、舌先を鼻の下をめがけて30秒伸ばす。そのまま今度は下顎に沿わせるように、べーっと30秒伸ばす。 舌回し体操=口を閉じ、上下の歯の表面をなぞりながら掃除するイメージで舌を回す。唇の裏側に舌先を差し込み、ぐっと押しながら回すと、唾液腺が刺激され口の中が潤う効果も。これをゆっくり5回ほど行います。歯並びの関係で凹凸が激しい方、矯正装置がついている方は、虫歯などで歯が欠けている方は舌を傷めてしまうので要注意。慢性的な機械刺激は舌がんの誘発因子になります。 舌バキューム=舌全体が上顎に吸い付くようにぴったり沿わせます。そのまま口を大きく開け閉めすると、舌の根元がぐっと伸びるのが実感できます。ゆっくり10回繰り返します。 舌ポッピング=舌バキュームと同じポジションで、舌全体を上顎につけます。そのまま口を大きく開け10秒キープ。その後「ポンッ」と音が鳴るように、舌を勢いよくはがします。これを5回繰り返します。