【フィンランド】国を挙げてのスタートアップイベントSLUSHとは
北欧フィンランドでは毎年11月にSLUSHという、主にITやスタートアップを紹介する国際的なコンベンションが開催される。今年で10回目となるSLUSHはフィンランドの非営利団体スタートアップ基金を母体とし、現在のCEOは若干25歳のアイノ・ベルギウスさんで、起業を目指す学生、社会人を採用し未来のスタートアップ育成に熱心だ。 【画像】【フィンランド】国を挙げてのスタートアップイベントSLUSHとは
Finland is cooler than you think
SLUSHの特徴はとにかくエネルギッシュであること。オープニングイベントはまるでアーティストのコンサートのような派手な演出で、今年はフィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領がスピーチを行った。今年就任したばかりでまだ50代の若い大統領はウィットに富んだスピーチを行い、その締めくくりの言葉は「Finland is cooler than you think」(この日雪が降ったため寒い、というのとイケている、という意味のcoolを掛け合わせている)だった。 会場は他の類似のコンベンションと比べると小さいし、期間も2日間限定だ。それでも会場の中心部にはフィンランドの大学などと並んでグーグル、NVIDIA、アマゾンウェブサービスなどのテックジャイアントのブースもある。主に欧州各国によるスタートアップブースもあり、日本ではあまり目にしない企業が多く集まるのも特徴だ。 さらにボルボ傘下のスウェーデン企業ポールスターのEV展示などもあり、フードテックから医療、バイオ、フィンテック、防衛産業、宇宙産業など、まさに様々な分野をカバーしている。IT系イベントとしてはCESラスベガスなどが有名だが、SLUSHはその若いミニバージョンとも言える。 SLUSHのテーマは「デジタル時代のレジリエンス」で、アナログからデジタル、さらにAIやVRなど人々が接する技術が大きく変化する時代の中で、企業のあり方そのものを再定義する必要がある、と訴える。 企業のエコシステムが今後注力すべき点としてSLUSHが掲げるのが 企業はその構成する人々のダイバーシティを大切にすべきである。国際化が進む社会の中で、企業もまたダイバーシティ問題を自らの問題として取り扱う必要がある。起業する人々は、成功を収めた場合、保守的になるのではなくさらに未来への変化を求めてリスクに挑戦する姿勢を保つべきである。企業は我々が現在直面する問題の解決を最優先に行う必要がある。そのために投資家、LP、アカデミア、他の企業、そして政府規制側の人々を積極的に参加させるべきである。 そしてSLUSHでは全体をファウンダー(会社を設立した人)、インパクト(業界や企業に強い影響を与える人)、ビルダー(構築を行う人)、スタートアップの4つのステージに分け、それぞれのステージで各界の著名人や注目を集める人々による座談会やスピーチなどが行われる。さらに通常の入場チケットに追加料金を支払う個別セミナーなどもある。