アメリカの歴代大統領も愛した Brooks Brothersの傑作「ポロカラーシャツ」の魅力
生地はボタンダウンシャツの定番であるオックスフォード。これはタテとヨコに2本の糸を引き揃えて織られた平織りの生地のことで、別名・斜子織(ななこおり)とも。厚手で丈夫な生地は織り目がはっきりしていて、さらに隙間が多いため、通気性にも優れている。 「現行のレギュラーモデルに使われているのは、繊維が長く、希少な超長綿・スーピマコットンが使われたものです。しなやかでありながら、コシがあってシワになりにくいのが特徴で、着込むほどに風合いを増していきます」 洗いざらしのオックスフォードが見せる豊かな表情とサラッとした肌触りは、このシャツの醍醐味だ。
「生産された時代によっては胸ポケットがないものもありますが、’70~’80年代のフランクなスタイルのシャツを踏襲した現在のモデルには、胸ポケットがデザインされています」 じつは胸ポケットはアメリカのシャツならではのディテールで、イギリスやイタリアのシャツにはあまり見られない。胸ポケットの由来には諸説あるが、第2次世界大戦後、アメリカ人はジャケットの下にベストを着なくなったことから、懐中時計をしまうためにシャツにつけたといわれている。ペンやカードを入れるのにも便利な胸ポケットは、アメリカらしい合理主義がうかがえるディテールだ。 「背中の中央には立体的なボックスプリーツが設けられています。これは背中の運動量を高めるためのポロカラーシャツの名物ディテールのひとつです」 さらにショルダーヨーク(肩から背中にかけての切り替え部分)は一般的なボタンダウンシャツよりやや狭く設計されている。
「シャツの袖に入った細やかなギャザーも特徴です。また、剣ボロにつけられるガントレットボタンは省略されているのもBrooks Brothersのスタイルです」 剣ボロとは、着脱をスムーズにするために、袖口の切り込み部分につけられた細長い布状パーツのこと。
バランスのとれたシルエットも、このシャツがトレンドを超越して愛され続けてきた理由のひとつ。シルエットは時代に合わせてアップデートされているが、現行モデルは、胸とアームをすっきりさせたレギュラーフィットとなっている。1枚で着ても、ブレザーのインナーにもちょうどいい塩梅だ。 丁寧な縫製も見逃せない。前身頃と後ろ身頃の縫い合わせ部分には本巻き縫いという仕様が見られる。これは縫製する布同士の端を巻き込むようにして縫う方法で、シャツの弱点である前後の縫い合わせ部分をしっかり補強する。
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