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「人とのつながり生きる力」 ALS闘病・富山の村下さん 理解・制度づくり訴え

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北日本新聞

 安楽死を希望していた難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者を殺害したとして医師2人が逮捕された嘱託殺人事件を受け、同じ病と闘う村下秀則さん(33)=富山市=が北日本新聞の取材に応じた。「私も死にたいと思ったことがあるが、人とのつながりの中で生きる力が湧いた」と自身の経験を重ね、「生きる死ぬの議論の前に、誰もが生きられる社会を作って」と胸の内を明かす。 (藤田愛夏)  村下さんは、2017年8月にALSと診断された。筋力低下など徐々に症状が進み、今年2月に気管切開したため、人工呼吸器を装着。現在はかすれた声で会話する。体はほとんど動かず、24時間体制でヘルパーの介助を受ける。  死亡した女性のものと見られるツイッターには「屈辱的で惨めな毎日がずっと続く ひとときも耐えられない」「安楽死させてください」などの書き込みがあった。  村下さんは、報道を通して、女性が他の患者を励ます書き込みもしていたとみられることや、自分と同じように1人暮らしをしていたことを知った。「ヘルパーとの関係を築くのは大変なこと。それができたのは、本当は『生きたい』という思いがあったのではないか」と思いやる。

 自身も診断直後は自殺を考えた。希望を見いだすことができたのは、同世代の患者との交流会への参加がきっかけだった。「自分にもできることがあるはず」。19年8月に重度訪問介護に特化した訪問介護事業所・自薦サポートセンター「ALSリレーション」を始め、代表を務める。  患者らが自分らしく生きるには、人とのつながりや周囲の理解、制度づくりが欠かせない。村下さんは「ALS患者は孤立しがち。思いを理解してくれる人とつながることができていたら、女性も生きることができたのではないか」と強調。「偏見をなくし、誰もが生きやすいところで生きられるようになってほしい」と訴える。  今回の事件を受け、ネット上には安楽死について、さまざまな反応が出ている。「ALS患者を『かわいそう』という書き込みを多く見るが、私も含め、患者の中には、生きることに楽しみを見いだし、自分自身を『かわいそう』とは思っていない人もいる。議論するなら当事者の意見を最優先にしてほしい」と求めた。

■揺れる思いに寄り添って  「病気になる前と現在の自分の姿を照らし合わせて、さまざまな思いが交錯したのではないか」。日本ALS協会県支部事務局長の織田昌代さん(63)=富山市上冨居=は、安楽死を希望し薬剤投与を受けて亡くなったとされる女性患者の心情を推し量る。  織田さんは2002年にALSで夫を亡くし、その後は同協会メンバーとして多くの患者に寄り添ってきた。「症状の進行度合いによって患者の心は揺れ動く。そのときどきで(生きる)モチベーションを高めることが大切」と言う。「心の奥のひだをどこまで感じ取っているか」。改めて自問自答し、支援の在り方を模索している。(宮田求)

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