トランプ流人事の目玉つまずく…ゲーツ氏、司法長官を辞退 未成年買春疑惑、上院の承認難しく
【ワシントン古川幸太郎】トランプ次期米大統領が司法長官に指名すると発表していた共和党のマット・ゲーツ元下院議員は21日、指名を辞退すると表明した。未成年女性の買春や違法薬物使用の疑惑があり、人事手続きに必要な議会上院での承認が難しいと判断したとみられる。トランプ氏は同日、ゲーツ氏の代わりに前フロリダ州司法長官のパム・ボンディ氏(59)を指名すると明らかにした。 ゲーツ氏はX(旧ツイッター)に「私の承認が、政権移行という重要な業務の妨げになっているのは明らかだ。不要な争いで時間を浪費するわけにはいかない」と投稿した。 トランプ氏は自らに忠誠を誓うゲーツ氏を司法長官に起用することで、自身の弾劾や起訴に関わった者を速やかに排除する狙いがあったとみられる。目玉人事が指名からわずか1週間でつまずいた格好だ。 ゲーツ氏の疑惑を巡っては、司法省の訴追は免れたものの、下院倫理委員会が調査を継続。ゲーツ氏は疑惑を否定していた。 ニューヨーク・タイムズ紙によると、上院では少なくとも4人の共和党議員がゲーツ氏の司法長官就任に反対する意向を示していた。上院(定数100)は共和党が53議席を有する。仮に4人が反対すれば人事承認に必要な過半数に届かないことから、辞退したとみられる。 新たに司法長官候補に指名されたボンディ氏は約20年にわたり検事を務め、2011年に女性初のフロリダ州司法長官となった。トランプ氏を起訴した特別検察官を批判する急先鋒(せんぽう)で、腹心の一人。トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「パムは司法省を犯罪と戦い、米国を再び安全にするという本来の目的に集中させるだろう。彼女は賢くタフで、米国第一主義の戦士だ」と書き込んだ。 閣僚人事を巡っては、トランプ氏への忠誠心ばかりが重視され、「身辺調査」が不十分とされている。ゲーツ氏のほかにも醜聞が取り沙汰され、適性が疑問視される候補は複数いる。 その一人、国防長官候補のFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は17年に女性に性的暴行を加えた疑惑がある。米メディアによると、ヘグセス氏は性的行為は合意の上だったと主張したが、女性に秘密保持契約を含む和解金を支払っていた。民主党内からは「上院は指名を拒否するべきだ」との声が上がっており、紛糾する可能性がある。
西日本新聞