“ひき逃げ”で無罪「見直し」なるか?飲酒隠すため“口臭防止用品”購入後に救護…争点は「救護義務の違反」 飲酒運転で息子失った両親が会見 最高裁で「弁論」
9年前、長野・佐久市で起きた飲酒運転の自動車事故で、当時中学3年生だった男子生徒が死亡した。 この事故をめぐり、車を運転していた男性は過失運転致死罪で有罪判決が確定していたが、その後、両親がひき逃げなどの罪で告訴状を提出。 1審で懲役6カ月の判決となるも、2審で東京高裁が逆転無罪を言い渡した。 これを不服とする検察側が上告し、13日に最高裁で「弁論」が開かれた。 【画像】無罪判決「見直し」なるか?飲酒運転していた男性が事故当時とっていた行動とは
「無罪判決」見直される可能性
13日午後、会見場に姿を見せた2人。 9年前、自動車事故で息子を失った両親だ。 死亡したのは、当時中学3年生だった和田樹生(わだ・みきお)さん。 進学先の高校に入学する直前の事故だった。 この事故をめぐり、13日、最高裁で弁論が開かれ、“ひき逃げではない”とした東京高裁の無罪判決が見直される可能性が出てきた。
「ひき逃げ」などの罪でも両親が告訴へ
問題の事故が起きたのは2015年3月。 現場は長野・佐久市だ。 家に帰ろうと、横断歩道を渡っていた和田樹生さんが、飲酒運転の車にはねられ死亡した。 車を運転していたのは、現在52歳の男性。 これまでの裁判で、男性は過失運転致死罪に問われ、執行猶予付きの有罪判決が確定した。 しかし両親はその後、独自の調査結果をもとに、ひき逃げなどの罪で告訴状を提出したのだ。 そして、時効直前の2022年1月、長野地検は男性を在宅起訴した。
争点は「救護義務の違反」にあたるかどうか
新たに始まった裁判で主に争われたのは、男性が事故後の数分間にとった行動が、道交法に定められた「救護義務の違反」にあたるかどうかだった。 男性は事故直後、はねた地点からから95メートルほど先で停車し、現場に戻ったものの、和田さんを発見できないまま、先のコンビニで飲酒運転を隠すための口臭防止用品を買って、1分ほどあとに(150メートルほど離れた)現場へと戻り、和田さんに人工呼吸をしていた。 1審の長野地裁は、男性がひき逃げをしたとして、懲役6カ月の判決を下した。 しかし2審の東京高裁は2023年9月、「救護義務を果たす意思は失っていなかった」などとして、男性に逆転無罪判決を言い渡した。 これを不服とする検察側の上告を受け、13日、最高裁判所で開かれたのが、双方の主張を聞く「弁論」だ。 検察側は事故後、通報していない男性について、「飲酒の発覚を回避するためコンビニに向かい、友人と電話で会話していて、通報できる状況にあったことを示している」と主張。 一方、弁護側は、すでに判決が確定している「過失運転致死」と、今回問われている「救護義務違反」を「別々に処罰する理由はない」などと主張した。
両親「非常に強い憤り」
最高裁の弁論は、すでに出ている結論を変更する際に必要な手続きのため、2審の東京高裁が出した無罪判決が見直される可能性がある。 13日の弁論を傍聴した和田さんの両親は、「被告人の行動というのは、救護義務とはまったく異なる。自己保身のアルコールを隠すための行動、それについて、被告人自身が無罪だと思っているのか、非常に強い憤りを感じております」と話した。 そのうえで、「最高裁にはしっかりと審議をしていただき、2審の判決を破棄してほしい」などと主張した。 (「イット!」12月13日放送より)
イット!