ジェット戦闘機版「オスプレイ」実は2機だけ存在! 「エンジンまるごとギュイーンと回転」その珍仕様とは?
F-35Bとはちょっと違う!
日本の陸上自衛隊でも運用するV-22「オスプレイ」は、可動式のエンジンポッドを用いてエンジンの推力方向を変えることで、「ヘリコプターと固定翼機のいいとこ取り」ができることが特徴です。この機は垂直に離着陸したのち、ローターの向きを前に向け、プロペラ機のような姿になることで高速で前進できます。 【写真】漫画かよ? これが「エンジンギュイーンと変形する戦闘機」全貌です この原理を応用すれば、ジェット機でも垂直離着陸と高速巡航が可能になるのではないでしょうか。実は、今から60年ほど前に超音速を超えるジェット戦闘機で同じことを実現した機体が存在します。今回、その機体を実際に見てきました。 垂直離着陸を実現する「VTOL(Vertical Take Off and Landing)」の性能を持つジェット戦闘機は、実用化されているもののなかでは、イギリス製の「ハリアー」やアメリカ製のF-35Bなどが知られています。しかし、これらは搭載エンジンは横向きそのままで、排気方向を離着陸時には下向きに、空中に浮かんだ後は後方に向けて前進するというスタイルで垂直離着陸を実現しています(F-35Bはエンジンノズルとは別にリフトファンも駆動)。 このようななかで、物理的にエンジンの向きを変えることで垂直離着陸を実現したのがドイツの「VJ-101」です。エンジンは6基構成で、うち2基は胴体前部、操縦席後方に固定設置され上下動専用。左右の主翼端に備え付けられた4基(1ポッド内に2基並列)が、噴射角度を変えられる回転構造になっていました。 試作機は、初号機が1963年にホバリング飛行を初めて実施し、その数か月後には、上空でエンジン方向を変える水平飛行モードへの転換飛行を成功させています。翌年には、VTOL機としては初めて、音速を超えるという快挙まで成し遂げました。ちなみに、この機が成し遂げた速度記録(マッハ1.08)は、当時の西ドイツの航空機としては”新記録”だったそうです。 ただ、最終的には1968年に開発中止に。同機を展示する同国のシュライスハイム航空博物館はその理由を「軍事要件の変化によるもの」と説明しています。なお、同施設によるとVJ-101の製造は試作機2機のみ。飛行試験は1971年までに325回行われ、飛行時間は合計14時間だったと記されていました。
乗りものニュース編集部