福島第1原発の処理水巡る閣僚会議 経済対策・検討本格化へ 首相「水産業支援 万全期す」
政府は30日、東京電力福島第1原発の処理水を巡る関係閣僚会議を官邸で開いた。岸田文雄首相は「水産業を子や孫の世代まで持続的に引き継いでいけるよう、全国の水産業支援に万全を期す」と強調した。海洋放出開始から1年が経過しても、中国による日本産水産物の全面輸入停止が続いており、秋に策定を目指す経済対策も含め、水産業の追加支援策の検討を本格化する。 首相は中国輸出に依存していたホタテについて「従来の対中国輸出量の約半分で代替販路を開拓するなど効果が出ているが、全てを置き換えるには至っていない」と説明した。水産物全般では「三陸常磐もの」の魅力発信を含む国内消費拡大、海外販路開拓、国内生産の持続対策などを実施するとした。昨年の会議で示した「政府として処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組む」との方針について「何ら変わりなく堅持することを確認した」と述べた。 福島第1原発の廃炉作業は「全体として着実に進展している」としたものの、2号機の溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業がミスで初日に中断したことを「重く受け止める」と改めて述べ、東電にこれまで以上の緊張感を持って対応するよう促した。
東電の小早川智明社長は会議後の取材に「実施主体として放出の最後の一滴まで役割と責任を果たす」と表明。斎藤健経済産業相が求めた作業ミスの原因と対策の報告は「準備が整い次第、報告する」と時期の明言を避けた。