国内開催できないスーパーラグビー、サンウルブズが代替地の豪州で完敗…興行収益メド立たず長期海外遠征で苦悩続く
2月29日のハリケーンズ戦では防御システムを保てず15―62で敗れていた。ただ今度のブランビーズ戦では「今日は比較的(選手同士の間隔などの)バランスを取れていたとは思う。修正はできた」と布巻。攻め込まれた要因は、従来からあったフィジカリティの差に伴うタックルエラーなど数点に絞られた。 指揮官の大久保は「システムがよかったとしても1対1のフィジカリティのところはいますぐ上げろと言っても難しい。タックルのテクニックで、踏み込み足の次(逆足)の伸びにこだわっていかなきゃいけない」と認めつつ「いくつかポジティブに成長している部分がある」と言葉を絞った。 そしてファンへ向けたメッセージに自分たちの生き様を投影する。 「ラグビーの要素として、困難な状況、苦しい状況を乗り越えていくタフな選択がある。それを選手には常に求めたいです」 スーパーラグビーの開催は、自粛ムードの日本スポーツ界とは無関係の文脈でおこなわれているが、4月以降のサンウルブズのホームゲームがあるかどうかは未知数とのこと。3月中旬以降のトップリーグの試合が予定通りに実施できない場合は、周囲の対応もそれ相応になるとの見立てだ。 渡瀬CEOは、ホームゲーム開催を望んでいるが、もしもそれが不可能な場合は早めに国外の会場を決めてチケット販売に注力。「ホームゲーム」としての収益を少しでも得たいと考えている。 経営判断を下すのは、容易ではない。3月のホームゲームの会場変更によって十分な補填が得られるかどうかも、はっきりと前向きなことは言えない。 現場の先頭に立つ大久保ヘッドの髭は、ずいぶんと伸びた。 だが、剃刀を忘れたのではない。 「帰るまでは、剃らないでおこうかなと」 コーチと選手が今できること……それだけを考えている。 (文責・向風見也/ラグビーライター)