新田、松山北との激闘90分+αをPK戦で制す!
先に開催された「第99回全国高校サッカー選手権」で愛媛県代表として39年ぶり3回目の出場を果たした新田。結果は初戦で藤枝明誠に逆転で敗れたものの、試合開始早々に電光石火の攻めで2点を先制するなど、前半26分に退場者を出すまではサッカー王国・静岡県を大いに慌てさせた。 【フォトギャラリー】松山北 vs 新田 そんな新田の新チーム初戦となる無観客での県新人大会。中予地区予選を免除され、12校が参加した愛媛県大会の2回戦からシードされた彼らは初戦で新居浜西を2-1で下し、2月6日(土)に北条スポーツセンターで開催される準決勝・決勝戦(1日2試合)に挑んだ。 そして準決勝の相手は過去5度選手権出場、近年も95回大会に出場している強豪・松山北。試合は35分ハーフ・10分ハーフ延長戦の計90分でも決着が着かず、PK戦にまでもつれ込む激戦となった。 では、両校のスターティングシステムから紹介していく。新田は選手権同様の「4-4-2」。GKはキャプテン・選手権経験者の田中藍人(2年)、DFは右から15檜谷隼雲(1年)、5森誠也(1年)、選手権のリベンジに燃える3白石慶次郎(3年)に2宮領渉真(1年)。中盤はダブルボランチに22篠埼亮輔(1年)と旧チームからの主力10青野宇矩(2年)、サイドアタッカーは右に7中越翔悟(2年)、左に6東尾翔太(2年)の選手権経験コンビ。2トップは9福井 優斗(2年)とエースの11日浦 和守(2年)が組んだ。 松山北は「3-5-2」でえ新田に対応。GKは1木村晃大(2年)、3バックは右から5井川 天喜(2年)、4鈴木良(2年)、12上田雄貴(2年)。中盤はダブルボランチが9松井康暢(2年)と7森智史(1年)、ウイングハーフは右にキャプテンの10渡部晴大(2年)、左に6木村夏皐(2年)。そしてトップ下が14佐々木洸輔(2年)に2トップは11中本 壮太(2年)と15渡邉悠斗(2年)という布陣で臨んだ。 お互いにつなげる位置では相手のスペースを探りながらつなぎ、スペースを見つけると一気にペースを上げる興味深い戦い方を志向する中、先制点を上げたのは新田。27分、青野からの縦パスを受けた日浦はドリブルを仕掛けながら細かいフェイントを入れ、相手DFの態勢を崩すことに成功。その直後、PA右角から右足で豪快に逆サイドネットに突き刺す弾丸シュートはエースの風格すら漂うものだった。 しかし、松山北は0-1で35分を終えると後半開始時からチェンジ・オブ・ペースを図ってくる。左CBには3近藤裕希を投入。左足からのアーリークロスやセットプレー、ロングスローといったオプションを増やした。これによりボール支配率を上げた彼らは37分、10渡部の浮き球パスに3列目から入ってきた9松田が元FWらしいヘディングシュートで同点。さらに44分にはフィジカルで相手DFラインを押し下げた15渡邉に変え、テクニックに長けた内田祥文(2年)を入れ、左サイドから巧みなドリブルでカットインする6木村も使いながらバイタルエリアを支配しにかかった。 それでも新田は粘った。3バックとGK23田中らが松山北の攻撃を受け止めつつ、機を見て11日浦や6東尾、7中越のサイドを使ったカウンターを発動。結局その後は70分間、さらに10分ハーフの延長戦でも決着は付かず。同時開催の準決勝で帝京第五が3-0で宇和島東を下していた決勝戦の挑戦権獲得はPK戦に委ねられることに。PK戦では4人全員が決めた後攻・新田に対し、松山北は2本が新田GK23田中の好セーブに阻まれ決勝戦の切符は新田が獲得。同時にインターハイ県予選は県大会からの出場チームが帝京第五と新田に決まった。 なお、午後に行われた決勝戦・3位決定戦では帝京第五が2-0で新田に勝ちが大会初優勝。3位決定戦でも宇和島東が3対0で松山北を下すことに。準決勝・決勝戦の同日開催がないインターハイ予選は、今大会4連覇を逸した四国プリンス組の今治東や中予地区予選でまさかの敗退に終わった松山工に先日、元愛媛FCのボランチ渡邉 一仁氏がサッカー部の指導に関わることが発表された済美なども絡み、近年にない群雄割拠となりそうである。 (文・写真=寺下友徳)