元近鉄監督・佐々木恭介氏から阪神D1位・伊原陵人への提言「プロに入ったら…」
【球界ここだけの話】 12月14日、大阪市内の某ホテル。大商大関係者約230人が集い、卒業生である阪神ドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=らへの激励会が開かれた。 【写真】小学校時代の阪神D1位・伊原陵人 「これからが本当のスタートラインですし、いままで思っていた夢の始まり。引き続き大阪商業大学で学んだ『下から這い上がる』という思いを持って、ドラフト1位という順位は関係なく、一生懸命頑張っていきたいと思います」 壇上では雄弁に語り、肌で感じる期待もしっかりと背負うようすだった。この日は伊原のほかにも多くの方がマイクの前に立った。そのうちの一人が佐々木恭介さん(74)。元近鉄監督で1991年から2年間は阪神でもコーチ職を担った名伯楽だ。タテジマに袖を通した経験がある一人として「ドラフトが終わってからもう4、5回は1面にいっているよな。いまだけやで」とハッパをかけたスピーチは印象的だった。 縁あって大商大野球部には数年前から打撃面のアドバイスをするなど、コーチではない立場から関わってきたという同氏から見て、在学当時の伊原は「完成品に近い状態だった」という。左腕はそこから腕を磨き、大学時代に味わったドラフト指名漏れも乗り越えて目指した舞台に立つ。潜在能力の高さを認める中で、元プロの視点からはある提言を授かった。 「プロに入ったら『この人は俺より上やなあ』『まだ負けているなあ』と思うと、どんどん自分を追い込んでしまう。それが故障につながらないように乗り越えてくれたら越したことはないけど、心配といえば心配やな」 アピール合戦が本格化する春季キャンプではプロ2年目以降の投手たちとも並んでブルペン投球を行うようになり、レベルの高さは五感で感じることになる。主力級のすごみに触れることは刺激になればいいが、それがカンフル剤として作用しすぎれば、オーバーワークにつながる危険性も孕んでいる、というワケだ。だからこそ「抜くところは抜く。そういう部分は大事じゃないかな」。けがをしないためにも、説いたのはメリハリをつけて練習に取り組むことの重要性だった。 「基本的に大柄な選手よりも小柄な選手の方が気持ちは負けない。気持ちを強く持って、阪神の一員、戦力として1年目から頑張ってほしいね。どれだけやれるか、楽しみにしていますよ」
身長170センチの体格を言い訳にもせず、夢の舞台にたどり着いてくれた。厳しい世界でもまれながら結果を残す左腕のこれからを、佐々木さんも期待しながら見守っていく。(須藤佳裕)