都内から群馬への転入 10年間で初の超過に 昨年4~11月 新型コロナが影響か 転出が15%減
新型コロナウイルスの感染状況が悪化する中、2020年4~11月に都内から群馬県へ転入した人が3898人に上り、都内への転出者を264人上回ったことが上毛新聞の集計で分かった。過去10年間の同時期の比較で、転入超過になるのは初めて。19年と比べ転入者は微増だった一方、転出者は約15%減少した。コロナ禍による勤務形態の変化や大学でのオンライン授業導入などにより、転出が抑制されたとみられる。
◎全国でも都内からの転出が増加 4033人超過に
総務省の人口移動報告を基に、群馬県と東京都との間での4~11月の転出入の数を集計した。20年の転入者は前年同期比で48人(1.2%)増の3898人、転出者は647人(15.1%)減の3634人だった。
新型コロナの影響で緊急事態宣言が出された20年4月は転入913人、転出1030人と117人の転出超過。ただ、その後は6月を除く6カ月で転入超過を記録した。特に8月は138人の転入超過となり、この間では超過幅が最大だった。
一方、11~18年の同時期のデータを見ると、いずれも転出超過だった。400~500人台の超過となる年が多く、13年は805人の超過だった。
同報告によると、これまで転入超過の状況が続いてきた東京から、人が流出する傾向が見られる。20年11月の都内から全国への転出者は2万8077人となり前年同月比で4538人(19.2%)増え、4033人の転出超過だった。
人口移動に詳しい高崎経済大地域政策学部の米本清准教授(都市・地域経済学)は、テレワークの普及などで東京一極集中の流れが変わってきたと指摘。群馬県から都内への転出減について「大学がオンライン授業となり、新入生が上京をためらったり、単位を取り終えた4年生が地元に戻ったりしたことも影響したのではないか」と分析する。
前橋、高崎両市での再開発によって住環境が向上していることも踏まえ、「住む人が増えると、地域のにぎわいという好循環を生む。コロナ禍をきっかけに新しい風が吹く可能性もある」と指摘する。
群馬県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課によると、県の移住ポータルサイトの閲覧数は前年度比で倍近く増えた月もある。担当者は「現在の状況を好機と捉え、群馬への移住情報を積極的に発信したい」としている。