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地元高校生と水戸の学習塾運営会社がタッグ ゴーグル不要のVRシアター開発

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みんなの経済新聞ネットワーク

 茨城県内の高校に通う軍司晴南さんと、VR・MRなどを使った「ブレインテック」を展開する「テンアップ」(東京都文京区)がタッグを組み6月、ブラウザーで閲覧できるVRシアターを開発した。(水戸経済新聞) 【写真】観客席から見たステージの様子  新型コロナウイルスの影響で臨時休校が続く4月、県内の公立高校に通う軍司さんが、「テンアップ」社長の金谷建史さんへ社会人研究のインタビューを依頼したことからやりとりが始まった。自社でXR(VR・AR・MR)関連製品企画や開発・運営、水戸市内の学習塾の運営などを展開する金谷さん。当時、3DCGを使ったVRシアターの構想はあったという。高校の課題である社会人研究のインタビュー中に軍司さんが投げ掛けた「『金谷さんの考える未来での役割はなんですか?どんな存在でありたいですか?』という核心をつく質問にハッとした」と振り返る。  笠間市出身の金谷さんは「水戸で塾の経営もしていて、都内と地方の情報格差をなくしたいと常に課題を考えていたはずが、いつの間にか技術ありきで考えてしまっていた。軍司さんからのインタビューで改めて原点に立ち返ることができた」と話す。話を進めるうちに、軍司さんが吹奏楽部に所属し、今年のコンクールや大会がほぼ中止することを知り、話し合いを重ね、互いに「顔が見える」VRシアターの制作を始めた。  軍司さんが提案したのは「吹奏楽部の発表ができる仕組みであること」「演者は複数人いること」「アバターではなく本人がしっかりと登場できること」「親や祖父母などの年代が使えるよう難しいものにはしたくない」「ステージからも誰がきてくれたか確認したい」の5つ。  「テンアップ」のクリエーターやエンジニア4人が協力し、これまで進めていたVRシアターの仕様を変更。3DCGをフル活用し、ライティングや舞台装置までそろえたシアターから、データ量が少なく高齢者でも操作しやすいシンプルなシアターに仕上げた。  収容人数は現時点で200人。テレビ電話会議システムとVRの中間のような形で、アプリのインストールや複雑な設定はない。URL一つに各自の端末からログインし、アバターに顔を表示させることができるのが特長。端末を方向キーで操作し、シアター入り口から階段を降り、座席へ移動したり、グラックで顔の向きを変えてステージ上を見たりすることができる。  「VRというと専用のゴーグルを装着した技術ありきの話が多い。軍司さんからの質問をきっかけに、制作メンバーと『そもそもシアターは何のために作るのか、誰に届けたいのか』と話し合った。人生を考えるタイミングになった」と金谷さん。  「制作では、エンジニアにとっても既存のVR業界でほかに参考にするものがなく、0から新たな世界観を生み出してもらう苦しみの場面が多々あった」とも。完成したシアターを見た軍司さんは「吹奏楽の大会などは、高校生活の成果を見せる発表の場。アプリをインストールしたり、何か設定したりすることがあると、おじいちゃんやおばあちゃんは大変。こうして形になってうれしい」とほほ笑む。  金谷さんによると、同シアターのシステムは現在、全国の複数の大学で採用が決定しているという。金谷さんは「世界的に見てもVR会社ではNGの取り組みだが、軍司さんが所属する吹奏楽部の生徒さんや保護者の本当の気持ちを最優先にしてこのようなシステムができた」と話す。「情報格差を無くして、地域の役に立ちたいという思いが強くなった。今度は、ここで演奏する人が多くの人を楽しませてくれるステージを作ってくれたら」と期待を寄せる。

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