トヨタ 新型MIRAI、全く別のクルマに生まれ変わった究極のエコカー【試乗記】
MIRAIは水素燃料電池車(FCV)。空気と水素を反応させて発電。排出するのは水のみ。CO2排出ゼロの究極エコカーである。2ndモデルは前輪駆動から後輪駆動に、システムはぐっとパワフルに大変身。航続距離は最大850km。“乗ってみたい!”と思わせる斬新サルーンだ。 【写真はこちら】 ● まったく別のクルマに生まれ変わった 新型の2ndモデル 量産燃料電池車(FCV)のMIRAIがモデルチェンジした。新型は2ndモデル。ただしモデルチェンジといっても、一般的な世代交代とは少々異なる。パワートレーンにトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を用いること以外、まったく別のクルマに生まれ変わった。 ラインアップはZとGの基本2グレード構成。Zにはエグゼクティブパッケージを設定、Gはエグゼクティブパッケージに加え、Aパッケージが選べる。
エクステリアは流麗な4ドアクーペスタイル。伸びやかでスポーティなフォルムとキャラクターラインに頼らない塊感のあるデザインが印象的。ボディサイズは全長×全幅×全高4975×1885×1470mm。クラウン(同4910×1800×1455mm)とレクサスLS(同5235×1900×1450mm)の中間。タイヤは19インチ標準。Zグレードには20インチをオプションで用意。20インチアルミは、精悍なブラックスパッタリング仕様になる。 インテリアはオーソドックスなレイアウト。運転席は包まれ感、助手席は広がり感が重視された。デザイナーは「集中と開放」を両立させたコクピット空間と説明する。質感は飛躍的に向上。乗車定員は旧型の4名から5名に改良。リアシートは足元スペースが拡大され、必要十分なヘッドクリアランスを確保するなどフォーマルセダンとして使えるレベルである。
● パワートレーンは第2世代のTFCSを搭載 圧倒的な静粛性 パワートレーンは第2世代のTFCSを搭載。FCスタックの高性能化と小型&軽量化、セルの革新、駆動用バッテリーの高効率&小型化を実施。モーター出力は113kW→134kWにアップ。航続距離はシステムの改良に加えて水素タンクの容量増大(122.4L→141L)で大幅に伸び、約850km(G)に達する。走りはスポーティサルーン。力強い加速に感動。 低重心と理想的な前後重量配分(50対50)を実現した点も新型のセールスポイント。FFからFRへのパッケージ&レイアウト変更により、従来は前席下にあったFCスタックなどの主要パワーユニットはフロントに移動。駆動用モーターはリアに配置された。 動力性能の向上は、走り始めてすぐに実感できる。出力アップがもたらすパワフルさは印象的。しかもアクセルの踏み込みにクルマが即応する。車両姿勢変化(ピッチング)も効果的に抑えられている。2トン近い車両重量を感じさせない力強さ、そしてクルマの動きは1stモデルとは雲泥の差だ。 高い静粛性にも驚いた。旧型は走行中にさまざまな音が聞こえてきたが、新型は床下を吸音効果のある素材でフルカバー。さらにマウントの工夫、遮音・吸音の細かなリファインにより、圧倒的な静粛性を誇る。「1stセルシオの感動」が蘇ったほどである。 プラットフォームはレクサスLC/LSも採用するGA-Lがベース。MIRAI用は、リアに新ボディ骨格が追加されブレース/シェアプレートなど補強材を追加。構造用接着剤やレーザー溶接技術(LSW)など細かな部分まで最適化が図られた。主要骨格部材にはアルミや超高張力鋼板が最適配置され軽量化も追求している。サスペンションはフロントがハイマウント式マルチリンク、リアはローマウント式マルチリンク。動きだしから素早く反応する新ショックアブソーバーを採用。タイヤは標準が235/55R19、opで245/45ZR20を装着する。