中国産金属シリコン価格、中・低品位品の下落顕著。需給緩和で3月比600~700ドル安
中国産金属シリコン価格が下落局面を迎えている。9日時点の価格は、高品位グレード(2202)を除いて3月比でトン600~700ドル下落した。シリコン生産が堅調に推移する一方で、自動車向けアルミ合金需要の減退やウクライナ紛争を契機とした脱炭素の一服感で太陽光パネル向けも停滞。中国の電力制限策で価格が急騰した昨年9月以前の水準まで値を戻した。 足元の輸出向け価格(FOB)は「2202」が4950~5千ドル(3月初比300~450ドル安)、「3303」が3300~3350ドル(同620ドル安)、「441」が3100~3150ドル(同680ドル安)、「553」が2900~2930ドル(同550~570ドル安)。高品位の「2202」は1月末の水準で下げ止まっているが、その他品種は昨年の価格高騰前の水準まで下落した。 中国産シリコンの需給は3月以降、大幅に緩和している。4月生産量は、四川省で渇水期の終了に伴う稼働率改善があったほか、新疆地地区でもコロナ・環境規制からの回復が顕著となり、3月比で5千トン増加の25万7400トン(年間305万~306万トンペース)だった。 順調な生産が続く一方で、需要は自動車向けアルミ合金需要が停滞しているほか、成長期待が強い太陽光パネル向けも化石燃料の復活ムードなどを受けて引き合いが弱まっている。また「欧州の一部需要家が調達先を中国からノルウェーやブラジルに変更している」(上島隆タックトレーディング社長)といい内需、輸出向けともに力強さを欠く展開となっている。 先行きについては「5~6月も3~4月と状況はさほど変わらないことから、弱気ムードが強い。生産が年間300万~410万トンペースで推移すれば、さらに200~300ドル下落する可能性もある」(同)とした。