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昔は一生安泰、今は…「弁護士」は本当に“食えない職業”になりつつある?

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オトナンサー

「弁護士」になるには、国家試験で最難関とされる司法試験に合格しなければなりませんが、弁護士資格を取れば、「一生安泰」「高収入が得られる」などと言われてきました。  ところが今では、晴れて弁護士になった人の中には、日々の生活に困る人もいるようです。司法制度改革により、弁護士の数が急増したことが背景にあると言われていますが、一方で、テレビや雑誌などのメディアに弁護士が頻繁に登場するようになったほか、弁護士資格を持つ人材を求める企業も増えており、需要があるようにも感じます。  弁護士は本当に“食えない職業”になりつつあるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

平均所得は12年で4割超減少

Q.「弁護士は食えなくなった」という声を聞くことがあります。以前に比べ、本当に弁護士は収入が減少しているのでしょうか。 佐藤さん「日弁連が定期的に行っている『弁護士実勢調査』によると、弁護士の収入や所得は減少傾向にあることが分かります。弁護士の平均所得は2006年当時で1748万円でしたが、年々減少し、2018年には959万円となりました。 所得減少の理由として考えられるのは、司法制度改革による弁護士数の増加です。1999年に1万6731人だった弁護士の数は2倍以上に増え、2019年3月31日時点で4万人を超えています。 日本も欧米のように、ちょっとした争いごとが起きたらすぐに弁護士に相談できるよう、法曹人口を増やしてきたのですが、ふたを開けてみると、弁護士が扱う事件数はそれほど増えませんでした。 『争いごとは身内の話し合いにより調整すべきもの』という意識が強い日本では、いまだに弁護士や裁判は縁遠いものであり、弁護士の数を増やしたからといって『訴訟社会』にはならなかったのです。現実の需要を踏まえ、新たな司法試験合格者数は年1500人程度と減少傾向にあり、弁護士の就職事情も改善の兆しが見えてきたように感じます」 Q.大変な状況が続いているようですが、弁護士は激務なのでしょうか。 佐藤さん「弁護士は自由業であり、その働き方は個人差が大きく、一概に激務になりつつあるとは言えないように思います。収入を増やすために長時間働く弁護士もいれば、収入に直結しないけれど人権を守るために長時間働く弁護士もいます。 一方、『ゆったりと仕事をしたい』『育児や介護と両立を図りたい』など、個人の希望に合わせて仕事量を減らす弁護士もいます。『弁護士実勢調査』によると、大半の弁護士は、1日8時間から12時間程度働いているようです。 弁護士は多様な働き方が可能であり、弁護士業務のほか、会社役員や法科大学院の教員、地方自治体の有識者委員などを務めるケースも少なくありません。そのほか、法的に分かりやすくニュースを解説するなど、メディアで活躍する弁護士もいます」 Q.弁護士の中には、独立する人もいれば企業や法律事務所に勤務する人もいるかと思います。収入を安定させようとする場合、どちらの方がよいのでしょうか。 佐藤さん「収入の安定を優先するならば、勤務する方がよいと思います。独立して法律事務所を経営する立場になると、毎月決まった収入が保証されるわけではないため、常に収支のバランスを意識しながら仕事をすることになります」 Q.弁護士にとって今後、チャンスとなる分野はあるのでしょうか。 佐藤さん「今まで弁護士があまり取り組んでこなかったけれど、実は法律家が必要とされている分野、社会の変化によって弁護士の需要が拡大している分野などは今後、弁護士業務の中心になりうるものと思います。 例えば、超高齢社会に突入したことから、弁護士が『民事信託』(高齢者などが家族や親族に財産管理や財産処分を任せる一つの方法)のアドバイスをしたり、学校現場に『スクールロイヤー(学校弁護士)』として入ってトラブル解決の手助けをしたり、新たに登場した『eスポーツ』の法的課題に取り組んだりと、さまざまな新しい需要が生まれています。 一方、弁護士業務の中には正直、かけた時間に見合うだけの報酬を頂けないものもあります。しかし、弱い立場にある人の人権を守るため地道に活動を継続する必要性を感じています」

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