警察庁特別防犯対策監 杉良太郎さん「クールな風土、でもだまされる…」生まれ故郷・神戸で特殊詐欺撲滅訴え
警察庁・特別防犯対策監を務める俳優の杉良太郎さんが12日、特殊詐欺被害の防止を訴えるため、神戸市中央区の兵庫県警本部を訪れた。杉さんは神戸市出身。 兵庫県警が推進する特殊詐欺防止に向けた広報啓発支援事業で任命された30代から70代の男女支援員約30人の発隊式に臨んだ。杉さんは「深刻な特殊詐欺被害、兵庫では増え続けている。私はだまされないという考えは忘れてほしい」と呼びかけた。 兵庫県警によると、県内の2020年1月~9月末の特殊詐欺の認知件数は782件(前年同期比80.6%増)で被害額は約13億3600万円(同89.7%増)。いずれも大幅に増えている。 杉さんは15歳の時から刑務所への受刑者慰問活動を続け、法務省から「名誉矯正監」を拝命するなど社会貢献に尽力している。2018年11月、国家公安委員長から特別防犯対策監を委嘱された。さらにタレントのコロッケさんやTOKIOの城島茂さん、アイドルグループ「乃木坂46」らと特殊詐欺被害防止を働きかけるプロジェクトチーム「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」(SOS47)のメンバーを務め、被害防止に向けた広報啓発活動に取り組んでいる。 杉さんは「特殊詐欺が『特殊』と称されるのは犯行グループの手口が凝っているから。天才的な話術に長けているから。自分にとって都合の良い話には絶対に乗らないように」と強調。そして「阪神・淡路大震災で大きく傷つき、人々が打ちひしがれた兵庫、神戸。どうしてこれだけの被害に遭ってしまうのか。神戸を例にとると、街中でスターが歩いていても、絶対に声をかけてこない、それがどうした、というクールな県民性がある。それがなぜ、これだけだまされるのか?コロナ感染拡大の影響で兵庫、大阪、京都という関西の大都市での啓発活動が遅れてしまったのが悔やまれる。犯行グループは、なかば強盗のような強引さで、絶対に(獲物=被害者を)逃さないという勢いで近づいてくる。特殊詐欺被害ゼロを目指して、これから警察庁とともにどんどん注意喚起していきたい」と意気込んだ。 特殊詐欺防止広報啓発支援員の任期は2021年3月31日まで。 ・・・・・・・・・・・・ 北は日本海に面し、南は瀬戸内海から淡路島、太平洋へと続く兵庫県は、大都市から農村、離島まで多種多様な地域があり「日本の縮図」と呼ばれている。兵庫は阪神間~神戸市内~東・西播といった太平洋側の都市部と、その他の郡部が共存、郡部の高齢化と都市部の核家族化が進む。 捜査関係者によると、都市部では高齢者と同居する家庭も多いが、在宅時間が長く、電話(固定電話)を取りやすい高齢者が、留守番中に犯人からの電話を受けても、判断機能が衰え、パニックに陥りやすいために家族に相談できないケースもあるという。この典型的な「日本の縮図」、兵庫の特異性も遠因にあるのではないかと指摘する声もある。
ラジオ関西