2024くまもと この1年/事件・事故・裁判を振り返る(前半)『闇バイト』の果てに少年は【熊本】
テレビ熊本
『2024くまもとこの1年』3回目は今年県内で起きた事件・事故、そして裁判について振り返ります。また、凶悪事件の温床となっている『闇バイト』について、逮捕された少年の証言から実態に迫ります。 【西村 勇気 アナウンサー】 「足元ブーツに血が付いています。『大丈夫、頑張って』という声が救急隊からかけられています」 【原田 光應 カメラマン】 「窓から激しく炎が噴き出している」 【熊本 竜太 アナウンサー】 「職務質問をしようとしたところ、男が自ら刃物で腹部を刺し、後部座席から女性の遺体が発見されました」 【久保田 優果 記者】 「熊本市北区の国道3号線です。車は2台とも前方部分が大きく大破しています」 【堂前 泉紀 記者】 「このアパートの一室で男性の遺体が見つかり、さらにその部屋のベランダから白骨化した遺体が見つかったということです」 【飲酒運転の車にはねられ熊本市職員の女性死亡】 飲酒運転による悲惨な事故が今年も繰り返された。 【前田美沙希記者】 「車は前方部分が大破し、助手席側のドアが大きくへこんでいます。事故の衝撃がうかがえます」 【近所の人】 「ガシャーンとぶつかる音で、すごい音だった。あれと思ったら女性の叫び声がした」 スピードを出しバッグで走り去る車、この直後、事故は起きた。6月、熊本市で飲酒運転の車が歩道に突っ込み、熊本市の女性職員など2人が死傷した。警察は、車を運転していたホストクラブ従業員の男を逮捕。その後、危険運転致死傷罪などで起訴された。男は事故の直前にトラックに追突する別の事故を起こしていて、「飲酒運転がバレるのが嫌で、追突したトラックから逃げるのに必死でアクセルを踏んだ」と供述しているという。 【下通・殺人未遂事件 女性従業員3人重傷】 【西村勇気アナウンサー】 「熊本市中心部です。繁華街が騒然としています。ブルーシートの奥、タンカに乗せられてけがをしたとみられる人が運ばれていきます」 【女性が逃げ込んだ店の店長】 「こっちに『助けてください』って大きな声で『刺された』って」 3月、熊本市の繁華街に緊張が走った。下通アーケード近くの飲食店で店長の男が女性従業員3人の顔などを包丁で刺して殺害しようとしたとして逮捕・起訴された。 【元城南町議強盗致死事件】 【発生から3年以上男2人逮捕】 【前田 美沙希 記者】 「陳野容疑者を乗せた車が出てきました。これから身柄が熊本地検に送られます」 6月、3年あまり未解決だった事件が大きく動いた。2021年5月、元城南町議の男性が手足をひもで縛られ、死亡しているのが見つかった。目撃証言など乏しく捜査が難航する中、熊本を拠点に全国で空き巣を繰り返していたグループの男の関与が浮上。警察は、防犯カメラの映像などを精査し男2人を逮捕した。2人は強盗致死罪などで起訴されていて、今後、裁判員裁判が開かれる。 強盗殺人など凶悪事件の温床となっている『闇バイト』。県内でも、特殊詐欺の受け子などを『闇バイト』で募集したとして、10代の姉弟など男女5人が相次いで逮捕された。警察は指示役とみられる暴力団幹部も逮捕し事件の全容解明を進めている。 この『闇バイト』の実態とは。今回、特別な許可を得て、球磨郡錦町にある少年院を取材。『闇バイト』で犯罪に手を染めてしまったという少年から話を聞いた。 【少年】 「『2週間で50万円くらい報酬がもらえる』と言われて、誘惑に負けて乗っちゃった」 少年は、特殊詐欺で被害者からキャッシュカードを受け取り、現金を引き出すなどしたとして逮捕されたという。中学時代、不登校がきっかけで不良グループと関わるようになった少年。「2週間で50万円の報酬がもらえるチラシ配りの仕事がある」と知り合いから誘われた。 【少年】 「何回も『怪しくないよね?』と(確認した)。知り合いに自分の住所とキャッシュカードを送った。(知らない人から)自宅マンションの前で封筒に入った10万円を手渡されて、交通費とか宿泊費だった」 秘匿性の高いアプリで指示役からメッセージを受け取った少年。『チラシ配りの仕事』が実は、特殊詐欺の『受け子』であることを知ったという。 【少年】 「知り合いに電話して『話が違う』みたいなことを言ったんですけど、その人も『とりあえずやってくれ』みたいな」 スマホで指示を受けながら被害者宅を訪れた少年、銀行員になりすまし、高齢者からキャッシュカードをだまし取ったという。 【少年】 「イヤホンで指示があったが、話した内容はあまり覚えていない。言われたことをそのまま口に出していた」 記者:もらったものはどうするんですか? 【少年】 「『お金を下ろせ』と言われて、コンビニで40万円を下ろした。(お金は)コインロッカーに入れて、写真を指示役に送った。(被害者は)結構、高齢の人でちょっとかわいそうというか、やっちゃダメだなって思っていたが、上の人から急かされて・・・」 結局、少年は報酬をもらうことなく逮捕された。 【少年】 「短時間でお金を稼げる仕事って本当に限られているというか、多分ないと思う。捕まって少年院とか刑務所に入るくらいなら、ちゃんとコツコツ仕事してお金を稼いで生活した方がやっぱり自分の為になると思う。留置場でお母さんが面会に来てくれた時に泣いていた。それを見て、また泣かせてしまったなっていう・・・。本当に後悔している」 彼のような犯罪者を生まないために警察も対策に乗り出している。 【熊本中央警察署 生活安全課少年係 松田 志保 巡査部長】 「『闇バイト』はアルバイトではなく『犯罪』です。警察官の私がこうやって講話しているのは『犯罪だから』皆さんに危険性を伝えています」 熊本県警は11月から県内の高校生を対象に講演会を開き、『闇バイト』の危険性を伝えている。 【熊本県警察本部 生活安全企画課 辻 直樹 次席】 「ちょっとの小遣い稼ぎのつもりとか、軽い気持ちで手を出してしまうことがあるかもしれませんけど、一生取り返しのつかないことになりかねません。警察では『闇バイト』に応募してしまった人をその家族を含めて確実に保護させていただきたいと思う。どういった状況でも不安がある場合は勇気を持って、警察に相談していただければ」
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