木の枝落下で男性死亡 原因は“ギンナンの重み
東京・日野市の遊歩道でイチョウの木の枝が落下して下敷きになった男性が死亡した事故で、警視庁は「原因はギンナンの重みなどによるもの」と明らかにしました。 9月12日夕方、日野市にある多摩平第2緑地でイチョウの木の枝が落下し、遊歩道を歩いていた市内に住む男性(36)が下敷きになって死亡しました。事故現場では17日も、日野市の職員が樹木の緊急点検を行っていました。 警視庁によりますと、枝は最大約16メートルの高さから落ち、大小合わせて10本の枝が男性の上に落下したということです。枝が落下した原因について警視庁は「ギンナンの実りがよく、かなり重くなっていたことや、瞬間的に風が強かったため」とみていて、枝の腐食や人為的に手が加えられた形跡はなかったということです。現場となったイチョウの木の下には、かなり大きく実ったギンナンの実が落ちていました。 なぜ、ギンナンの重みによって枝が折れたのでしょうか。事故発生直後から市の調査に同行している日本樹木医会の小林明理事は「ギンナンで枝が折れることは細い枝の場合、しばしばあること。ところが太い枝が連続して落ちるというのは私も長い間見ているが初めて。極めてまれだったと言える」と指摘します。 また、注意すべき木の特徴があるとして「ほとんどの木は安全。きちんと管理されている。イチョウの木のようにたくさん実がつく木については、長く伸びて、しかも枝が垂れ下がっているような状態になっていたら、それは危ないサインということを頭の中に入れておいた方がよい」といいます。 日野市は今回の事故を受けて市内全域の木の再点検を行っていて、近日中に点検を終え、今後の対応を検討するということです。 <都内のイチョウ名所 管理方法は?> 私たちにとっても身近なイチョウの木が原因で死亡事故が起きてしまいました。東京都内にもイチョウの名所がありますが、このような事故の可能性はないのでしょうか。 国道20号線沿いを高尾駅前にかけて763本のイチョウの木が並ぶ都内屈指の「イチョウの名所」である、八王子市の「甲州街道のイチョウ並木」を管理する国土交通省の事務所に話を聞いてみると、こうした「街路樹」と今回事故のあった「緑地」では木の管理の仕方が違うという回答がありました。 まず、広い地面に植えられ、自然に近い形で育つ「緑地」と違い、街路樹では土台が限られ狭いため、木自体が大きくは育たないということです。また、街路樹は道路や建物が周辺にあるため、5年に1度、厳しい枝の剪定(せんてい)が行われ、枝の長さが整えられているということです。 さらに、今回の事故はギンナンの重みによって折れたという見方を警視庁の調査で示されましたが、街路樹の場合はギンナンができる時期になると事前に実を落として回収しているということで、倒木にも注意して定期的にパトロールを行うなど、緑地や公園などで自然に育てられている木に比べて事故を防ぐための細かな管理や対応が取られているということです。