最新練習機T-7A、生産開始 23年までに初納入
ボーイングがサーブと共同開発した最新ジェット複座型練習機T-7A「レッドホーク」の生産が、ボーイングのセントルイス工場で2月から始まった。2023年までに最初の引き渡しを計画している。 T-7Aは、これまでT-Xとして開発が進められてきた単発練習機で、1959年に初飛行したノースロップ・グラマン(当時ノースロップ)T-38「タロン」の後継機。F-22やF-35といった第5世代戦闘機のパイロット養成を主眼に置き新規開発した。 エンジンは単発ながら双発のT-38Cと比べて推力が約3倍となり、近年の戦闘機と同じ垂直尾翼が2枚の「ツインテール」を採用して全高を抑えた。コックピットは教官が座る後席を前席よりやや高い位置に配した「スタジアムシーティング」とすることで視界を確保している。地上とのデータリンクやキャノピーを横開きにするなど、T-38を使う教官の声を開発に反映し、製造コストを抑えた。 米空軍は2018年9月にボーイングと契約を締結。351機調達し、46台のシミュレーターや関連する地上設備を整備する。リスクシェアリング・パートナーとして、ボーイングはサーブと契約している。飛行試験初号機は2016年12月20日に、2号機は2017年4月24日に初飛行し、2019年9月にT-7「レッドホーク」と命名された。 米空軍は2020年9月に、デジタル工学を駆使して設計した航空機や衛星、兵器システムなどに接頭辞「e」を付けると発表。レッドホークは最初の航空機で、eT-7Aとも呼ばれている。三次元モデルやデータ管理システムなどのデジタル技術を駆使することで、設計から初飛行まで3年で終えている。 レッドホークは2023年までに最初の引き渡しが行われ、2024年までに初期運用能力、2034年までに完全な運用能力をそれぞれ獲得できる見込み。ボーイングは、日本を含む海外でのライセンス生産にも意欲を示している。
Tadayuki YOSHIKAWA