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「火ノ丸相撲」における刃皇はなぜ少年漫画界でもまれに見る名ラスボスだったのか

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ねとらぼ

“絶対的な一人横綱”として描かれた刃皇

 まず、作中の刃皇の挙動を簡単に追いかけてみましょう。  刃皇は学生相撲編でも一度登場しており、主人公である「鬼丸」こと火ノ丸にけいこをつけてくれているのですが、まだこの時点では本人のキャラクターについて細かく描写されません。本格的な登場は大相撲編から。  絶対的な一人横綱として相撲界を背負う刃皇関は、作中で44回目の優勝を決めた直後、なんと泣きながら「次場所優勝したら引退する」と宣言してしまいます。  自分に抗し得るほどの力をもった力士が、いつまで待っても現れない。角界を一人で背負っているのに、刃皇に対しては「相手が弱いから優勝できている」などと揶揄(やゆ)する声が投げつけられる。  「相撲がかわいそう」「相撲を嫌いになりたくない」というのは刃皇の本心ですが、その言葉は刃皇を追いながらも力が及んでいなかった若手力士たちを強烈に奮起させる挑発として動作します。童子切、草薙、三日月宗近といった火ノ丸の学生時代のライバルたちは、決戦の舞台となる九月場所を前に、切磋琢磨して刃皇に届く力を身に着けようとします。ここでは、火ノ丸を含めた有力な力士たちに、大和国自らがけいこをつける描写もあります。  一方当の刃皇関は、火ノ丸の師匠筋である元横綱・駿海さんの入院を端緒に、火ノ丸と個人的な面識を持つことになります。自身の奥さんと一緒に、鬼丸やヒロインのレイナと夕飯の卓を囲んだ刃皇関は、火ノ丸に対して「相撲に対する愛」を語ります。  そして迎えた九月場所。火ノ丸は、なんと2日目という序盤に刃皇関と相対することになります。さまざまな事情から、自分の命すら顧みない戦い方である「無道」の相に堕ちかけていた火ノ丸に対し、この時刃皇関は「己に価値を感じない者の捨て身など全く怖くない」という痛烈な言葉を投げかけ、火ノ丸を破ります。これによって、一時火ノ丸は虚脱状態に陥ってしまいます。  しかしその後もさまざまな力士と激戦を繰り広げた刃皇関は、火ノ丸の兄弟子である冴ノ山や、火ノ丸と同世代の国宝・草薙の必死の食い下がりもあり、優勝の行方は最終日の優勝決定戦、13勝2敗で並んだ4人の力士の闘いに委ねられます。その中には、敗北から立ち直った鬼丸こと潮火ノ丸の姿もあったのです。

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