石破氏が「新派閥」自民党の派閥とは? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
石破茂地方創生大臣が、自身の派閥である「水月会」を立ち上げたことが、先月ニュースになりました。石破氏は現時点で派閥に属さない無派閥でしたが「私のような者でも政権を担うことが望ましいなら、それを目指したい」と述べて次の総裁選(3年後)に意欲を見せたと言います。 石破氏が今年9月の総裁選への出馬を見送った一方で派閥に所属しない野田聖子氏は積極的に出馬を模索しました。背景には政界を引退したものの党内に隠然とした力を持つ古賀誠元幹事長が動いたとみられます。古賀氏は安倍首相の集団的自衛権限定行使の方針に公然と異を唱えていた人物です。かつて自分がトップであった岸田派(後述)あたりに声をかけて必要な推薦人20人が集めようとして失敗し断念に追い込まれました。 そして10月の内閣改造で5人いた岸田派の閣僚が岸田文雄氏のみに激減。総裁選で安倍氏にさからおうとした岸田派全体への冷遇と、それを抑え込んだ岸田氏自身だけは論功行賞にありついたという図式となりました。 自民党の派閥といえば、中選挙区(後述)時代は一つの政党に匹敵するぐらいの力を持っていて「領袖」と俗称される派閥トップへの就任が総裁へのステップだった時代もありました。そこで、自民党の派閥とはいかなる歴史があり、実体はどうなのか?について、改めて振り返ってみます。
今いくつある? 自民党の派閥
「派閥」は非公式で私的な集団で主に自民党内のグループを指します。一般の会社でもよく「派閥」という言葉が用いられますが、事務所まで設けて独自活動するケースはみられないので「自民党の派閥」は特殊な集合体です。 また「派閥」はたいてい表向きは政策集団を装っていて対外的にはそちらの名称を名乗るのが普通です。岸田派の「宏池会」のように。多くは定例会を木曜日に開きます。 現在存在する自民党の派閥は主に8つ。他に谷垣禎一党幹事長の谷垣派(約30人)がありますが他派閥に「本籍」を置いている議員もいてマスコミのなかには「谷垣グループ」と区別しているところもあります。 ・細田派(細田博之)95人 ・額賀派(額賀福志郎)53人 ・岸田派(岸田文雄)45人 ・麻生派(麻生太郎)36人 ・二階派(二階俊博)34人 ・石破派(石破茂)20人 ・石原派(石原伸晃)14人 ・山東派(山東昭子)10人 (人数は朝日新聞9月29日付朝刊を参照)