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「川崎フロンターレはパス・サッカーの究極形」スポーツ比較解剖学(2)FCバルセロナを超えた川崎F

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サッカー批評Web

パスをつなぎ、シュートを放って、相手ゴールを陥れるスポーツ――水球、バスケット、ハンドボール、アイスホッケーを、パスを主体に考察し、比較を試みる。その本質をサッカーに当てはめると、川崎フロンターレはなぜ強いのか、その理由が見えてきた。 【動画】川崎Fの強さを象徴する守田英正のロングパス(5分27秒ごろ)

■「ティキタカ」の本質とは

 言い方を変えれば、サッカーでは必ずしも水球並みにパス精度を上げる必要はないということになる。  しかし、20年前、水球を見ながら、僕は「サッカーでもあれくらいパス精度を上げて、パスの受け手のどちらの足で、どのような向きでパスを受けるかを意識しながらプレーすべきではないか」とも思ったのだ。  その後、FCバルセロナの全盛時代が到来した。そして、世の中を魅了した「ティキタカ」と呼ばれる彼らのパスワークは「水球並み」とは言わないにしても、きわめて精度の高いものだった。  精度の高いパスだから、シャビやアンドレス・イニエスタにとって大きなスペースなどは必要がない。相手のディフェンダーがいても、ほんの少しのパスコースさえ確保できればパスを通すことができる。ほんの1歩あるいは半歩動くことによって、小さなパスコースを作ればそれで十分なのだ。そうして、パスを回しながら相手の守備に穴やスペースが生まれた瞬間を狙って素早く動いてスペースを利用して相手の守備を崩してしまう。それが、バルセロナのサッカーだった。  システムがどうとか、マークの関係がどうのといった戦術論とはまったく次元の違う話である。

■リオネル・メッシという名の超人的な得点マシーン

 そして、今年のJリーグではそのバルセロナの「ティキタカ」にも匹敵しようというパス・サッカーによって川崎フロンターレが首位を独走し、1試合平均で3程度の高い得点力を維持している。  全盛期のバルセロナもたしかに得点力は高かったが、そこにはリオネル・メッシという超人的な得点能力を持った“パーツ”が存在していた。バルセロナといえども、メッシなしにあれだけの得点を決めることはできなかったろう(逆に、バルセロナを離れてアルゼンチン代表でプレーするメッシは簡単にゴールを生み出せなかった)。  そう考えると、メッシという究極の得点マシーンなしで高い得点力を発揮する川崎フロンターレこそが、パス・サッカーの究極形なのかもしれない。  もちろん、川崎が戦っているJ1リーグの対戦相手とリーガ・エスパニョーラやUEFAチャンピオンズリーグでFCバルセロナが戦っていた相手とではまったくその強度が違うのだから、「川崎の方がバルセロナより強い」などと言うつもりはまったくない。ただ、(メッシという“パーツ”なしで)パスの精度だけを武器に得点を重ねるという意味で、川崎の方がパス・サッカーとしては純粋なのではないかと言いたいのである。

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