久保建英A代表デビューの衝撃を長友は「ドラえもん」と評した
獲得したゴールまで約18mの直接フリーキックを中島が蹴ったが、ゴールの枠をとらえられなかった。久保にとっても得意とする距離と角度だったが、本人は「(ファウルを)もらった人が蹴るべきだと思います」と持論を展開。直後にこんな言葉を紡いで、メディアを笑わせている。 「あそこで中島選手が足とかを痛めていたら、もしかしたら自分が蹴ったかもしれないですけど」 ドリブル、テクニックが散りばめられたターン、力んだものの明確な意図が込められたシュート、そして即興のコンビネーションを駆使したパスワーク。短い時間のなかで次々と繰り出された「ドラえもん」のアイテムに、長友が再び興奮気味に言葉を弾ませた。 「パスに関しても、最終的な目的地となるゴールまでに広がる空間を建英は意識している。スピードもあるし、最近はフィジカル能力もついてきた。久しぶりに化け物が出てきたと僕は思っています」 守備面でも相手ボール時には大迫と2トップ気味になり、素早いチェックからプレスの「一の矢」を担った。 森保監督も「自分の特徴を生かして伸び伸びとプレーしていたなかで、彼がもつ技術の高さや賢さが出ていた」と及第点を与えたなかで、久保の視線はすでに前へと向けられていた。 「最初はみんな気を使ってくれたというか、気持ちよくプレーさせようという意図が感じられました。助けてもらったことはすごくありがたいですけど、もう試合を一度経験しているのでこれからは甘えることなく、自分の力だけでいいプレーを出していかなければいけないと思っています」 キリンチャレンジカップにおける挑戦は終わった。しかし、次なる戦いはすぐに訪れる。つかの間のオフをはさみ、11日には招待参加するコパ・アメリカに臨む森保ジャパンの一員として開催国ブラジルへ向かう。 「強い相手の方がいいので。そこで活躍できれば、自信になるのかなと思っています」 南米各国が母国の名誉と威信をかけて、目の色を変えて牙をむいてくる真剣勝負へ。ゴールを決めれば金田喜稔がもつ歴代最年少ゴール、19歳119日を大幅に更新する久保はファンやサポーター、そしてチームメイトたちを驚かせるアイテム=武器を、まだまだポケットのなかに忍ばせている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)