久保建英A代表デビューの衝撃を長友は「ドラえもん」と評した
右角あたりから侵入したペナルティーエリア内で、ゴールまでのルートを阻む相手は誰もいない。最も得意とする右45度から、利き足の左足で放つ一撃。カーブ回転をかけながら、ゴール左上の角を射抜こうと瞬時に描いた青写真とは対照的に、低空のシュートは相手GKに止められてしまった。 「あの場面、ちょっと力んだだろう」 試合後に場内を一周しながら談笑した長友に、久保はミスショットとなった理由を直撃された。図星だったからか。苦笑いしながら「決めたいという思いが強すぎて力みました」と打ち明けた久保に対して、長友はシュートにまでもっていった過程を「すごい才能ですよ」と舌を巻いた。 ドリブルから切り返し、突破に至った一連のシーンを振り返ると、久保は自分の真下にボールを置きながら、常に顔を上げていた。こうなると相手はうかつに飛び込むことができない。 長友は「足を出せないし、(ファウルをしそうで)怖いんですよ」と、相手の胸中を慮りながらこう続けた。 「ドリブル一辺倒の選手は、結局、選択肢が他にないから対処しやすい。建英の場合は左足だけを切ることができないし、ボールを真下に置きながら緩急をつけてくる。味方へのパスコースを切ろうとすれば縦に行かれるし、逆に縦が嫌だと思えば中へ行かれてしまう。戦う側からすれば、最悪のプレーヤーですよ」 後半アディショナルタイムには、ずば抜けた適応能力の高さも見せつけた。自陣からドリブルで突破してきた中島翔哉(アル・ドゥハイルSC)が、センターサークル付近で右側へいた久保へノールックパス。足元にやや深く入ったボールを、久保はワンタッチで前方の大迫へ通した。 次の瞬間、大迫が軽く触れて落としたボールを、パスを出してから加速してきた中島がそのまま受けて最終ラインの裏へ飛び出した。相手がファウルで止めるしかなかったシーンの起点となった、中島および大迫との間で発動された絶妙のコンビネーションが、久保の脳裏には瞬時にひらめいたという。 「ボールをもった瞬間に中島選手が何を考えているのか、というのがあのときはわかったので。結果として、ああやってつながってよかったです」