久米小百合、久しぶりのライブハウス 「異邦人」を当時のアレンジで披露
1979年の「異邦人」大ヒットから38年。久米小百合(久保田早紀)らが23日、ブルースアレイジャパン(東京都目黒区)で「一夜限りのクリスマスコンサート」を開いた。久米が初プロデュースしたクリスマス向けCD「7CARATS+1」で共に美しい歌声を響かせた本田路津子、Kishikoと讃美歌や過去のヒット曲などを歌った。 久保田早紀から久米小百合へ 大ヒット曲「異邦人」と歩んだ38年といま
久米は現在、ミュージック・ミッショナリー(音楽伝道者)として、教会やミッションスクールなどで音楽活動を続けている。「ライブハウスでのライブは20年ぶりくらい」だという。「この世のなみかぜさわぎ(LONDONDERRY)」など、だれでも一度は耳にする讃美歌をはじめ、久保田早紀時代の「ギター弾きを見ませんか」などを披露した。 ピアノで弾き語りをした「天使のパン」は、久米のオリジナル讃美歌だ。久米の息子がまだ幼稚園児で初めて飛行機に乗ったとき「トミカの車がいっぱいあるよ」というほっこりとしたエピソードを紹介しながら、その時の言葉を集めて作ったと話す。 フォークダンスで知られる「マイム・マイム」をノリよく歌うと、会場は手拍子で盛り上がった。マイムとはヘブライ語で水という意味で、同曲も旧約聖書に由来する歌だという。 そして、この日一番の盛り上がりを見せたのはやはり「異邦人」だった。前触れもなく突然始まったバイオリンのあの忘れがたいイントロに会場は一気に沸き上がった。それもそのはず久米は、「36年ぶりにこのアレンジで歌いました」と明かした。
教会などのコンサートでは、「異邦人」はリクエストされれば歌う機会はあるものの、基本的に昔の歌はあまり歌わないという。その理由は当時の高音が歌いづらくなっているからだ。確かに当時の歌声とは違っている。久米がその代わりに得たのは妻となり母となり、アーティストの目線にはないすべての人を包み込むような優しさだ。これはかつての大ヒットを持つ久米でしか出せない音であり、空気感なのだ。この日、ピアノを担当した夫であり、作・編曲家でもある久米大作の支えも大きい。明るい笑いもあり、ちょっとした自虐もあり、キリスト教に関する豆知識などを交えた久米の話術も魅力的だ。