袴田さんが東京でボクシング観戦 姉「58年闘い、勝ちました」
1966年に静岡県の一家4人が殺害された事件で再審無罪が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(88)が29日、東京都文京区の後楽園ホールで試合を観戦した。2015年以来の観戦で来場者から大きな拍手を浴び、姉のひで子さん(91)はリング上で「58年闘いまして、やっと勝ちました」とあいさつした。 自宅のある浜松市から新幹線で移動し、ちょうネクタイ姿で現れた。拘禁症状が残って意思疎通が困難な袴田さんは、リングに上がる予定だったが、取りやめた。 ひで子さんは「死刑囚じゃなくなっても後遺症は残ります。今の巌を受け入れております。外国でもどこでも連れて行こうと思っている」と話した。 袴田さんは日本フェザー級6位にランクされた実績があり、年間19試合の日本最多記録を持つタフな選手だった。ボクシング界は事件当時の「ボクサーくずれ」という偏見とも闘った袴田さんの支援を続けた。 支援に参加したWBCバンタム級王者の中谷潤人(26)=M・T=は「(自分の試合を)見ていただき、何かを感じていただけたらうれしい」と述べた。