日本発の民間宇宙企業ispaceが月面探査機の打ち上げへ。最短で2025年1月を目指す
日本発のグローバル宇宙企業が月ビジネスを推進
株式会社ispace(以下、ispace社)は同社によって開発を進められている月着陸船「RESILIENCEランダー」がロケット発射場のある米国フロリダ州に到着し、打ち上げに向けた最終準備を開始したと発表。この着陸船にはispace社の月面探査車「TENECIOUS(テネシアス)ローバー」のほか、商業ペイロードも搭載されており、2025年1月の打ち上げを予定している。 【写真】JAXA筑波宇宙センターで公開された、RESILIENCEランダーのフライトモデル ispace社は、2010年に創業した月面資源開発分野の宇宙スタートアップ企業。日本とルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、月への高頻度かつ低コストによる輸送サービスを提供することを目的として、小型のランダー(月面着陸船)やローバー(月面探査車)を開発している。 2022年12月11日に行われたミッション1では、日本初の民間企業主導によるランダーでの月面着陸を検証。月面着陸こそ達成できなかったものの、降下フェーズまでのデータを獲得したという。 約2年の開発期間を経て、次に行われるのがミッション2「SMBC × HAKUTO-R VENTURE MOON」で、改良したランダーを搭載して月面着陸に再挑戦。これと同時に、新開発のローバーを送り込んで月のレゴリス(=月表面の堆積層)を採取し、その所有権をアメリカ航空宇宙局(NASA)に譲渡する「月資源商取引プログラム」を実施する予定だ。 同ミッションでは、他社の積荷も一緒に月へ輸送するペイロードサービスも提供。着陸地点は、自社開発ローバーだけでなく積荷(ペイロード)にとっても好条件となる平坦な地形が特徴の「Mare Frigoris(Sea of Cold)」に設定されている。 ペイロードサービスで運ばれるのは、同社のコーポレートパートナーである高砂熱学工業の月面用水電解装置、ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型のモジュール、国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ、バンダイナムコ研究所のGOI宇宙世紀憲章プレート、スウェーデンを拠点にするアーティストのミカエル・ゲンバーグ氏による月面にミニハウスを設置するプロジェクト「ムーンハウス」。 こうした「相乗り」での輸送はコストを安くするメリットがあり、月面輸送・月面探査のハードルを下げる意味でも注目を集めている取り組みである。 日本発の民間企業ispaceによる月面輸送・探査サービスがどう発展していくのか、今後の展開にも期待が膨らむ。