法政大学 長山一也監督【後編】 「吸収力が凄かった上田綺世、チームのためにハードワークしてくれたディサロ」
1922年の創部以来、数々の大会で輝かしい成績をおさめてきた名門・法政大学サッカー部。そんなサッカー部は、“少数精鋭”という伝統のもと、少ない部員数ながらも選手を鍛え上げ、数多くの選手をプロに輩出している。インタビュー三回目となる今回は、ポイントとなる練習方法や、印象に残っている選手について、長山一也監督に話をうかがった。 【フォトギャラリー】法政大学サッカー部 ーー部において重点を置いている練習などを教えていただけますでしょうか? まずは技術的なところで、パスの練習やコントロールの練習、ドリブルの練習など基礎技術向上のための練習、さらに相手を見て判断力を向上させる練習、そして最後まで戦い抜く持久力を向上させるためのしっかりとしたフィジカル 強化ですね。この3つに関しては重点を置いています。 ーー監督自身、また選手たちはコロナという困難を経験して変わったことはありますか? まずは日常的にサッカーをできることが「当たり前ではないんだ」と知ることができたことが大きく変わった点かなと思います。今までに経験したことの無い困難な状況を乗り越えたことで、選手たちは「苦しい状況の中でも、自分のやるべきことをやる」という信念というか強い思いを持つことできたのかなと思います。 私自身が単身赴任で、医療従事者の妻と子供にはほぼ会えないという状況の中、今までと生活様式もガラリと変わって色々と大変なことも多かったんですけど、そういったことを経験することができたことを「勉強できた」とプラスに捉えることができたのかなと思っています。サッカーができない期間があったんですけど、その時間を有効に活用して色々なことを学ぶことができました。その経験が、シーズンの終盤ですけどサッカーにも結びついて良い結果に繋がったのではないかなと思っています。 ーー教え子で印象に残っている選手はいらっしゃいますか? そうですね、教え子たちはみな印象に残ってはいるんですけど、あえて挙げるとしたら、上田綺世(鹿島アントラーズ)とディサロ燦シルヴァーノ(清水エスパルス)でしょうかね。上田は飲み込みの早さ、吸収力が凄くて、アドバイスに対する反応が抜群に良かったですね。 ディサロの場合、ディサロと上田は2人ともFWだったんですけれども、上田が入学してきたことでディサロの試合に出る時間が短くなることがありました。それでも、2人がトップを組んで試合に出た時は、ディサロが上田の守備のカバーをしっかりとしてくれたり、本当は自分で点を取る仕事をしたかったとは思うんですけど、チーム全体のことを考えて守備的な役割を全うしてくれたんです。また、ディサロが4年生の時に、攻撃面で少しパフォーマンスを落とした時期があったんですけど、守備の面ではそれを補うくらいのパフォーマンスを見せてくれたりしていました。 2018年のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)の決勝では、彼のゴールで1-0で勝って優勝したんですけど、今までチーム全体のことを考えてプレーをしてきたディサロのところにボールがこぼれてきて、それを決めて、大会のMVPにも選ばれました。その時は本当に嬉しく思いましたね。彼自身ずっと厳しい練習をしてきて、チームのためにハードワークもしてくれていましたし、そういう選手が最終的に結果を出すんだなということを、スタッフと話したことを覚えています。 卒業後、最初に入団したギラヴァンツ北九州でも、プレーだけでなく性格など個性も含めて多くのサポーターから愛されていたようですし、ディサロも印象に残っている教え子の1人ですね。 次回は「指導者として大切にしていることや上達へのアドバイス」についての話などを紹介する。紹介する。