Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

【論説】米国によるファーウェイ起訴、深まる対立

配信

The Guardian

【ガーディアン論説委員】  米中の対立が深まっている。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)の逮捕から数週間たった今、中国政府は、米国を直接批判する危険は冒さず、米国の犯罪人引き渡し要請に基づき孟氏を拘束したカナダに圧力を掛けている。  今や米国は、カナダに逮捕要請したことを正式に認め、イランに対する制裁違反や捜査妨害があったとして、孟氏とファーウェイを起訴した。これとは別に、米司法省は、米携帯電話大手Tモバイル(T-Mobile)からロボット技術を盗んだとしてファーウェイを起訴した。起訴状では、ファーウェイが企業秘密を盗んだ従業員にボーナスまで支給していたという衝撃的な詳細も明らかになっている。  ファーウェイはすべての容疑を否認しており、中国政府は不合理かつ反道徳的だと米国を批判している。  ウィルバー・ロス(Wilbur Ross)米商務長官は、ファーウェイの起訴と1月30日から再開した米中貿易協議は別物だと述べている。貿易協議で米政府は、3月上旬の期限までに交渉がまとまらなければ、中国製品2000億ドル(約22兆円)にかける追加関税を10%から25%に引き上げるとしている。両国において懸念が高まっているものの、協議が進展する望みは低い。  ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、中国の劉鶴(Liu He)副首相率いる代表団と交渉にあたったが、交渉前には孟氏が切り札になると示唆していた。トランプ氏の周辺は、ファーウェイ起訴は同社の特定行為に対処しているだけではなく、主に不当かつ不正な方法で技術力を高めたと米側が考える中国の実力を測る狙いがあることを、明確にしている。  ジョン・ボルトン(John Bolton)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は先週、貿易協議は経済的不均衡を是正するだけではなく、「将来的に政治力と軍事力の均衡が崩れるのを防ぐ」目的があると述べた。一方、孟氏の逮捕に対する中国政府の攻撃的な反応は、ファーウェイの成功が、いかに共産党の一党独裁体制を敷く中国の野望の要であったかということを明白にした。  米中対立の中心には、次世代通信規格5Gの開発をめぐる覇権争いがあり、その中でファーウェイが重要な役割を果たしている。中国は国内の弾圧を強めると共に、国際的な取引においても強硬姿勢を崩さない。一方、米政権は、一貫性がなく、好戦的だ。米政府はすでに、秘密情報共有機構「ファイブアイズ(Five Eyes)」の加盟国である英国を含め、ドイツやポーランドなど将来顧客となり得る他の国々に対して圧力をかけている。英通信大手ボーダフォン(Vodafone)は1月、ファーウェイ製通信機器の使用を「停止」する方針を発表した。  英国など各国の課題も明らかになった。各国は、中国という国の本質や、機密情報を含むインフラ整備に中国を関与させることの潜在的危険をどの程度理解しているのだろうか。トランプ政権下の米国は、頼りになる存在なのだろうかという疑問も生じる。  ファーウェイ事件に対する中国の反応は、中国との取引は潜在的な犠牲があるということを明らかにした。中国はカナダ人2人を拘束し、さらに別のカナダ人に対しては非常に異例な再審によって死刑を言い渡した。これを受け各国は、中国に対する警戒を強めている。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

【関連記事】